糖尿病予備群と診断された父は、これまで週に何度かパン食を楽しんでいて、その時にコーヒーを飲んでいます。
以前テレビの健康番組で、コーヒーが糖尿病の予防にも効果的ということを見たので、これまでどおり飲んでも問題ないと思っていました。
しかしその後、予防にはいいけれど、糖尿病の人にはよくないということを知りビックリ!
食後の血糖値を抑える効果が期待できるといわれる一方で、逆に上げる作用があるとの報告も。
愛飲者も多いコーヒー。
飲んでいいのかいけないのか、飲む時はどうすればいいのか、コーヒーとどう付き合えばいいか調べました。
目次
コーヒーの効果
コーヒーには多くのカフェインが含まれていることから、体に良くないイメージがありました。
しかし近年、研究が進み、様々な健康効果があることがわかってきました。
2015年5月には、国立がん研究センターや東京大学などの研究チームが、「コーヒーを1日3~4杯飲む人は、まったく飲まない人に比べて心臓や脳血管、呼吸器の病気で死亡リスクが4割程度低い」ことを発表。
さらに2016年11月には、国立がん研究センターの研究チームが、「日本人でコーヒーを1日3杯以上飲む人は、脳腫瘍を発症するリスクが低い」という研究成果を発表しています。
コーヒーの主な効果
コーヒーのもつ様々な効果を見てみましょう。
※ここでいう主な効果は、ブラックコーヒーの場合です。
ダイエットに役立つ
カフェインは脂肪を分解する「リパーゼ」という消化酵素の活性化に役立つため、コーヒーを飲むと脂肪が分解されやすくなります。
またコーヒーに含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」にも脂肪燃焼を促進する効果があるので、ダイエット効果が期待できます。
糖尿病の予防
コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血糖値を下げる効果が期待でき、1日数杯のコーヒーを飲む人の方が2型糖尿病の発症リスクが低下することが分かっています。
リラックス効果
コーヒーの香りで気持ちが和らぐという人も多いと思いますが、それはコーヒーの香りには脳にα波を出す効果があるからです。
※α波には体と脳のリラックスやストレスの沈静化、脳の活性化などの効果があることで知られています。
コーヒーの香りのα波発生効果で、気持ちを落ち着かせたり、リラックスさせたりすることができます。この効果は研究結果として発表されています。
覚醒作用
カフェインには脳の中枢神経を興奮させる覚醒作用があります。
カフェインは吸収が早く、摂取してから約20~30分で脳が覚醒し始め、その後40~60分ほどでピークを迎え、効果は5~7時間持続します。
※カフェインに体が慣れてしまっている方は、そこまでの効果が得られないことがあります。
がん予防
国立がんセンターの調査によると、肝臓がんと子宮体がんの予防に特に効果が期待できるそうです。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸の抗酸化作用と抗炎症作用により、細胞が酸化するのを防いでがん細胞の発生や増殖を抑えるためであると考えられています。
二日酔いの改善
体内で分解しきれなかったアルコールは「アセトアルデヒド」という物質を発生させ、血管を拡張させてで神経を刺激し頭痛や吐き気などを起こします。
カフェインには血管収縮作用があるので、この頭痛を抑える効果があるのに加え、利尿作用もあるので毒素であるアセトアルデヒドを早く排出することができ、二日酔いの早い改善が期待できます。
肝臓を良くし、肝硬変のリスクを下げる
コーヒーにはクロロゲン酸が含まれています。
このクロロゲン酸には抗酸化作用があり、活性酸素を抑えることで肝機能の低下を防いでくれます。
飲酒量が多く肝機能数値の悪い人ほどその効果が高く、1日1杯以上コーヒーを飲む人は、肝硬変の発症リスクを20%も減少させるということが研究によって分かっています。
酸化していない新鮮なコーヒーを飲みましょう。
うつ予防
ハーバード公衆衛生大学院の研究チームによると、1日2~4杯コーヒーを飲むと自殺の危険性を50%も減らすという結果が。
また、アメリカ国立衛生研究所によると、コーヒーを1日4杯以上飲んでいる人は、そうでない人と比べてうつ病になる可能性が10%低下するということが報告されています。
※ただし、過剰摂取は不眠症やイライラの原因になります。
また抗うつ剤を飲んでいる人がコーヒーを飲むと、相反する効果が生まれ、結果として薬の効果が薄れてしまいます。薬を飲んでいる方は、飲む前に医師に相談しましょう。
口臭予防、消臭効果
コーヒーに含まれているタンニンには臭い成分アリシンに対する消臭効果があり、ニンニクやニラなどの臭い消しとして効果があります。ニンニクなどを食べた後、コーヒーを飲んでおくといいでしょう。
ただし、タンニンの摂りすぎは貧血を招くので注意が必要です。
またコーヒーを抽出した後の残りカスがある場合、乾燥させて不織布のお茶パックなどに入れ、冷蔵庫や靴箱などに入れると消臭剤にもなります。
コーヒーは、手軽な缶コーヒーやインスタントから、本格的なものまで様々。
豆の種類も豊富で、種類だけでなく産地の違いや焙煎方法、抽出方法などで味や香りが大きく異なり、いろいろな楽しみ方ができます。
健康効果も高い飲み物なので、これまで習慣がなかった方にもぜひ注目していただき、少しずつでも摂り入れていっていただければと思います。
コーヒーを飲む時の注意ポイント!
コーヒーにはいろんなメリットがありますが、飲み方を間違えると害になってしまうことがあります。
飲むタイミング、量、飲み方が重要です。
寝る前、夕方以降は飲まない
カフェインには覚醒作用があり、効果は5~7時間持続します。
そのため、寝る前に飲むと目がさえてしまって眠れなくなる可能性があります。また利尿作用があるので、夜中にトイレに行きたくなって目が覚めるなど、質の良い睡眠を妨げてしまいます。
寝る前はもちろんですが、夕方以降は控えるようにしましょう。
カフェインの摂り過ぎに注意
健康によいからっといって摂り過ぎは絶対ダメ!!
カフェインには中毒性があるため、毎日大量に飲んでいると「カフェイン依存症」になる危険性があります。
またカフェインには耐性もあり、たくさん飲んでいると段々効き目を感じにくくなってきてしまいます。
摂り過ぎに注意しましょう。
胃が荒れやすくなる
コーヒーは刺激が強く、遺産を分泌させる働きを強めるため、胃を荒らしてしまいます。
空腹時に飲むのは避け、食事中、食後に飲むようにしましょう。
また胃が荒れるのを防ぐため、保護する働きのある牛乳を混ぜてカフェオレとして飲むのもおすすめです。
口臭の原因になることがある
コーヒーには唾液の分泌を抑える成分があるため口の中が乾燥しやすくなります。
唾液が減ると口の中が酸性になるためバクテリアなどの口内細菌が増え、口臭の原因になってしまいます。ガムを噛むなど、唾液を分泌させるように心がけましょう。
またコーヒーの焙煎成分が舌に付着すると独特の臭いが発生するため口臭の原因になります。
コーヒーを飲んだ後は、うがいや水を飲んで成分を取り、ガムを噛んで唾液を分泌させるなどの対策をすると予防できます。
砂糖やクリームが、コーヒーの効果を消してしまう恐れあり
砂糖は血糖値を急激に上昇させたり、クリームはコレステロールが増えてしまったりします。
コーヒーによる健康効果を考えると、ブラックコーヒーで。
しかしブラックコーヒーでは胃が荒れるので、それを防ぐには牛乳を入れて飲むのがおすすめです。
血糖値の上昇を抑えるコーヒーの飲むタイミングは?
コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」は、血液中の糖の吸収をやわらげたり、脂質の代謝を促進したり、血管に吸収される糖や脂質を防ぐ働きがあります。
食事に含まれる糖や脂質は胃や腸から血管に吸収されますが、その量が多すぎると血糖値を急上昇させてしまいます。
しかし食前にコーヒーを飲めば、コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」が糖や脂質が吸収されるのを防いでくれるため、血糖値の急上昇を防ぐことが期待できます。
ということで、血糖値の上昇を抑えるコーヒーの飲むタイミングは、【食前】です。
そしてさらに朝食時に飲むのがおすすめです。
なんと朝飲めば1日を通して血糖値の上昇を抑えることができます。
朝食前に、ブラックか牛乳または豆乳を入れて飲みましょう。
糖尿病を発症している方は注意!
糖尿病の方は、注意が必要です。
カフェインは、血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌を抑える「アドレナリン」の分泌を促し、血糖値を下げる働きを妨げてしまうため、食後に血糖値を上がてしまう恐れがあるからです。
またもうひとつ気をつけたい点があり、カフェインには一時的に血圧を上昇させる働きもあります。糖尿病の方は高血圧にもなりやすいので注意が必要です。
しかし、様々な健康効果もあり、何より嗜好品ですから愛飲者が多いコーヒー。
そこでまずブラックコーヒー1杯を飲んで、血糖値が上がるかどうか、「血糖自己測定器」でチェックしてみるのがいいと思います。
カフェインで血糖値が上がりややすい体質かどうかチェックしてみてください。
上がらない方は、注意をしながら適量飲んでも大丈夫だと思いますが、カフェインで上がりやすい方は、基本的に控えられた方がいいのではないでしょうか。
しかしコーヒーが好きな人にとって飲めないことが大きなストレスとなり、そのストレスが症状を悪化させてしまうこともあります。
ストレスは糖尿病悪化の原因になります。
我慢ばかりではなく、上手に調整していくことも大切です。まずは医師に相談してみましょう。
そして、カフェインで血糖値が上がらなかった方もカフェインの摂り過ぎはもちろんダメですし、飲み方にも注意が必要です。
糖尿病の方が飲むときに特に注意したい3つのポイントを紹介します。
砂糖など入れず、ブラックで!
血糖値を上げる砂糖を入れてしまってはまったく意味がありません。
飲む時は、ブラックコーヒーが基本です。
またコーヒーと一緒に糖質を摂ればこれもまったく意味がないので注意しましょう。
空腹時に飲む時は、胃の保護のため、まず温めた牛乳を飲んでから!
血糖値の低い時、つまり空腹時であれば血糖値に影響はないという研究結果が出ています。糖尿病の方は、空腹時に飲むことをおすすめします。
しかしここで問題が!
コーヒーは刺激が強く、胃酸を多量に分泌させてしまう恐れがあるため、健康な人であっても空腹時のコーヒーはよくありません。
そのため健康な方の場合は、食事中や食後がおすすめですが、糖尿病の方の場合は血糖値上昇を促進してしまう働きがあるので・・・
悩ましい問題です。
糖尿病の方の場合、血糖値のことを考えると空腹時に飲むのがいいので、その際、胃を荒らすのを防ぐため、まず先に温めた牛乳を飲んで胃を保護してから飲むようにしましょう。
食事中、食後に飲む時は、糖質を摂らない!
コーヒーに含まれるカフェインが血糖値上昇を促進してしまう働きがあるため、食事と一緒に飲むのは控えた方がいいです。
しかし、どうしても食事中、食後に飲みたいときは、糖質を摂らないようにしましょう。
父は、ブラックコーヒーを飲んでも血糖値が上がらないので、糖質を控えたパンとともにこれまでどおり飲んでいます。
ただこれまでは市販のインスタントコーヒーでしたが、その場合、カフェインが大体60mg~80mg入っているようなんです。
そこで、カフェイン量が55mgと少し少なく、食後の血糖値を穏やかしてくれる難消化性デキストリンが入った【特定保健用食品】フィットライフコーヒーにしました。
パンと一緒に飲むので、カフェインが少ないだけでなく食後の血糖値を穏やかしてくれる難消化性デキストリンも入っているのが購入した理由です。
味もインスタントコーヒーと変わらずおいしいです。
まとめ
コーヒーは糖尿病の予防になる反面、すでに糖尿病の方にとっては血糖値の上昇を促してしまう恐れがあります。
そのため飲むには注意が必要です。
しかし、コーヒーを好きな方にとってコーヒーを止めるということはかなりのストレスになります。強いストレスは病状を悪化させる要因になってしまうことがあります。
控えなければいけませんが、我慢ばかりするのではなく、上手に調整していくことも大切です。
まず、糖尿病の予防を目的とした場合、コーヒーはブラックで。砂糖は控え、胃が荒れないように牛乳を入れてカフェオレにして飲むのはおすすめです。
一方、糖尿病の方が飲む場合は、食事時に一緒に飲んでしまうと食後の血糖値を上げてしまう恐れがあるので、空腹時がおすすめ!空腹時であれば血糖値に影響がないと言う研究結果が出ています。
また飲み時に注意して置きたいポイントは、
- 砂糖など入れず、ブラックで!
- 空腹時に飲む時は、胃の保護のため、まず温めた牛乳を飲んでから!
- どうしても食事中、食後に飲む時は、糖質を摂らない!
うまく取り入れて、お楽しみください。