1日の食事の適正エネルギー量は、患者さんの性別、年齢、身長・体重、運動量などを参考に医師が決めます。
そして、この適正エネルギーに沿ってどんな食品をどのくらい食べ、さらに、朝食、昼食、夕食など、どのように配分するといいかなどの指導を受けます。
その際によく使われるのが「食品交換表」です。
目次
使用法
食品交換表は、私たちが日常生活でよく食べる食品について、栄養素別に6つの表と調味料に分類されています。
6つのグループごとに1日分の量が出され、何をどれだけ食べればいいかすぐにわかるようになっています。
食品交換表
主に炭水化物を多く含む食品(Ⅰ群)
◆表1
穀物(ごはん、パン、そば、うどん、スパゲティ)、いも(じゃがいもなど)、炭水化物の多い野菜と種実(れんこん、かぼちゃなど)、豆(大豆は除く)
◆表2
果物(いちご、バナナ、みかん、りんご、なし、ぶどう、メロン、桃、さくらんぼ、スイカなど)
主にタンパク質を多く含む食品(Ⅱ群)
◆表3
魚介(魚、えび、いか、タコ、貝)、肉(牛肉、鶏肉、豚肉)、卵、チーズ(クリームチーズは表5)、大豆とその製品(豆腐、納豆)
◆表4
牛乳と乳製品(ヨーグルト、スキムミルクなど。※チーズは除く)
主に脂質を多く含む食品(Ⅲ群)
◆表5
油脂(植物油、バター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシングなど)、脂質の多い種実類(アーモンドなど)、多脂性食品(アボカド、ベーコンなど)
主にビタミン・ミネラルを多く含む食品(Ⅳ群)
◆表6
野菜(炭水化物の多い一部の野菜を除く)、海藻、きのこ、こんにゃくなど
調味料
みそ、しょうゆ、みりん、砂糖、ソース、ケチャップ、はちみつ、カレールウなど
※詳しくは『糖尿病食事療法のための食品交換表(日本糖尿病学会編・著/日本糖尿病協会 文光堂発行』の最新版をご覧ください。
ここでのポイントは、よく表を見てみてください。
同じ仲間と思っていた食品が、意外と別グループだったということはありませんか?
含まれている栄養素の種類や量が大きく違う場合は、グループが変わってしまうので、最初のうちは感や思い込みではなく、一つ一つ確認しながら料理するようにしましょう。
糖尿病の食事は、基本的に食べてはいけない食品はありませんが、大切なのはその量です。
※糖質制限食の場合は除く。
単位について
食品交換表では、80キロカロリーを1単位とし、それぞれの食品の1単位に当たる量が重量(g)で示されています。
なぜ1単位を80キロカロリーにするのかというと、
・ごはん 茶碗に軽く半分
・卵 中1個
・白身の魚 1切れ(約60g)
・バナナ 中1本
など、日本人が日常生活でよく食べる量が、80キロカロリーかその倍になっているからです。
糖尿病の食事療法では、1日に食べる適正エネルギー量が指示されますが、
・1600キロカロリーなら、「1600÷80」で20単位
・1800キロカロリーなら、「1800÷80」で22.5単位
と、簡単に計算できます。
同じグループの中であれば、ごはんの代わりにパンにしたり、麺にしたりなど交換できます。
ただし、グループが違うと栄養素の働きが違うので交換することができません。
例えば、ごはんの代わりに肉や魚にするということはできないので注意しましょう。
1日のカロリー配分の仕方
食事療法では、指示エネルギーをどのようなカロリー配分で1日の食事に振り分けるのかも重要です。
食事の回数は1日3回が基本。
朝食抜きで1日2回などというのは、食後の血糖値を急上昇させる要因になるので厳禁です。
理想のカロリー配分は、「朝食:昼食:夕食=1:1:1」。
しかし様々な事情でこれを守ることはなかなか難しいです。
そのため、例えば1日1600キロカロリー(20単位)の人の場合、「朝食:昼食:夕食=7:6:7」や「朝食:昼食:夕食:間食=6:6:7:1」などでも構いません。
ただ、夕食が多めになりすぎると、血糖値が高いまま就寝することになるので、すい臓に負担がかかってしまいます。注意が必要です。
また、今まで朝食を摂っていなかった人が食生活改善のためといきなり朝食を食べはじめると、体重の増加を招く恐れがあります。
夕食の量を減らしながら朝食を食べるようにし、徐々に3食きちんと適正な量が食べれるようにしていきましょう。
まとめ
食品交換表は、食品を6つのグループに分類し、それぞれのグループから決められた単位数を摂ることで、栄養バランスの摂れたメニューを考える方法です。
糖尿病では、基本的に食べてはいけないものはありません(糖質制限食は除く)。
好きなものがまったく食べられなくなるわけではありません(合併症の方は除く)。
主なポイントは、
・食べ過ぎないこと。
・糖質は控えつつ、バランスよく食べること。
・3食、規則正しく食べること。
です。
食事はとても大切です。
工夫をし、無理せず、楽しく継続しましょう。