低血糖の症状・対処法は?

気分が悪い

低血糖とは、血糖値が下がりすぎた状態のことです。

糖尿病の治療では血糖値を下げるために、場合により薬物療法やインスリン療法が行われます。

その際、薬が効きすぎて血糖値が下がりすぎ、「低血糖」になってしまうことがあります。

例えば、

  • 経口血糖降下薬やインスリンの量が適切でない。
  • 食事の時間の遅れや食事量が少ない。
  • 強い運動や運動時間が長い。
  • 飲酒

などが誘因となります。

特に運動は、血糖効果作用が長く続く場合が多いので、運動中や直後だけでなく、しばらく経ってから低血糖が起こることもあり(夜間や翌朝など)、注意が必要です。

また、糖尿病にかかっている期間が長く、インスリン強化療法により厳格な血糖コントロールを行っている場合、「無自覚性低血糖」といって、突然重症の低血糖が起こることがあるといわれています。

目次

低血糖を起こしやすい薬

薬薬を飲んでいる方は、その薬が低血糖を起こしやすい薬かどうかチェックしてみましょう。

低血糖を起こしやすい薬

  • インスリン製剤
  • スルホニル尿素薬(SU薬)
  • グリニド薬(速攻型インスリン分泌促進薬)

単独では低血糖は起こりにくい薬

  • α-グルコシダーゼ阻害薬
  • ビグアナイド薬
  • チアゾリジン薬
  • DPP-4阻害薬
  • SGLT2阻害薬
  • GLP-1受容体作動薬

※ただし、低血糖役を起こしやすい薬と併用すると低血糖が起こすものもあります。

低血糖を起こしやすい薬を使っている場合は、低血糖の症状や予防法、起こしたときの対処法などを知っておきましょう。

症状

気分が悪い低血糖とは、血糖値が必要以上に下がりすぎてしまい、日常生活をするうえで必要なエネルギーもつくれなくなる状態です。

放っておくと、意識が朦朧としたり、昏睡に陥ったりすることもあり、とても危険です。

-主な症状-

65mg/dl以下強い空腹感、悪心、吐き気、倦怠感、あくび、頭痛、集中力の低下、不機嫌、寡黙、寝言、頻繁な寝返りなど。
50mg/dl以下冷や汗、ふるえ、動悸、血圧上昇、不安、顔面蒼白、複視など。
40mg/dl以下思考力の低下、落ち着きのなさ、異常行動、意識喪失、けいれん、昏睡など。

注意しなければならないのは、人により誘因や起こり方が異なることです。

軽い症状から重い症状に進むとは限らず、急激の極端な低血糖を起こし、突然けいれんや昏睡などの重い症状が怒ることがあります。

対処法

低血糖の症状が出た場合

【症状】
指先や手足のふるえ、動悸、冷や汗、頭痛、目のちらつき・かすみなどの視覚異常、脱力感、空腹感、吐き気、舌のもつれ など

対応ブドウ糖5~10g、ゼリー状のブドウ糖、ブドウ糖タブレット、砂糖(ショ糖)10~20g、アメ(シュガーレスでないもの)などをとります。

ぶどう糖5~10分ほどで落ち着いてくるかと思いますが、吸収の早いものは30分位するとすぐに燃焼してしまい、再び低血糖になることがあるので、少し落ち着いたら糖質がゆっくり吸収されるバナナやクッキーなどを食べましょう。

ペットシュガーか角砂糖、ブドウ糖などをいつも携帯していることが大切です。ビスケット数枚かキャラメル1~2個などでも代用可能です。

ただし、チョコレートは血糖値をすぐに上昇させることができず、後になって血糖上昇作用を見せる恐れがあるので、この場合は不向きです。

※α-グルコシダーゼ阻害薬を使用している場合は、砂糖ではなく必ずブドウ糖を補給しましょう。

低血糖の症状が強い場合

【症状】
意識混濁、錯乱、妄言、けいれん、昏睡 など

対応

  • グルカゴン注射かブドウ糖注射をして、大至急、主治医と連絡をとる。
  • 上記の対応ができないときは、大至急、救急車を呼んで病院へ

自分で対応することはほとんど不可能です。

いざというときのために、日ごろから周りの人に対応法を理解しておいてもらうことが重要です。

また、いつ起こっても対処できるように「糖尿病カード」を必ず携帯しましょう。

「糖尿病カード」を携帯しよう!

糖尿病治療では、低血糖が起こる恐れがあります。

症状が強く現われた場合には、自分で対応することが難しくなります。

身近な人に低血糖発生時の対応法を話しておくことが大切です。

またいつ起こるかわからない低血糖なので、緊急時に備え、常に「糖尿病カード」を携帯しておきましょう。

カードには、

  • 自分が糖尿病であること
    「私は糖尿病です。(I HAVE DIABETES)」
  • 対処法
  • 氏名、電話番号
  • 主治医の連絡先(受診医療機関名、主治医名、カルテ番号、医療機関の電話番号、治療内容(薬))

などを記入しておきます。

低血糖が体に与える悪影響とは?

認知症低血糖をよく起こす人は、転倒しやすく、骨折や寝たきりにつながりやすくなります。

低血糖を年3回以上起こした人では、一度も低血糖を起こしていない人と比較して約1.7倍転倒しやすいというデータがあります。

また低血糖を繰り返すと、認知機能の低下につながり、特に重症の低血糖は、認知症を発症することがあります。さらに、脳卒中や心筋梗塞の発症率も高まります。

低血糖を起こして認知機能が低下すると、薬の飲み間違いなどが増え、結果、低血糖を繰り返す。そして認知機能がさらに低下・・・

悪循環に陥ってしまいます。

低血糖を起こさないように、予防する対策をしましょう。

まとめ

低血糖とは、糖尿病治療中に薬の量を誤ったり、糖尿病の薬と他の薬を併用して相互作用が起こったり、食事が遅れたり、飲酒や長時間の運動などが原因で血糖値が下がりすぎ、様々な症状が生じる状態です。

インスリンや薬物療法を使っている場合、そのリスクは常につきまといます。

低血糖が起きた時の対策として、糖質の吸収の早いものと遅いものの2種類を常に携帯するようにしましょう。

また低血糖は、思いがけない時、思いがけない場所で起こり、自分で対処できないことも考えられます。「糖尿病カード」をいつも携帯しておきましょう。