糖尿病の治療費はどれくらい?公的な補助はある?

治療費

糖尿病の治療は長期にわたるため、治療にかかる費用の問題は重要です。

医療費は治療の内容や薬などによって変わりますが、病状が進行するほど医療費は高くなります。

医療費を抑えるためには、早期発見、早期治療、通院の継続が大切です。

目次

治療費:進行するほど高くなる!

治療費の一例を紹介したいと思います。

条件・開業医(クリニック、診療所)を受診
・自己負担割合は3割
・薬は院外処方
・通院頻度は2週間に1回
・「特定薬剤(ハイリスク薬)管理指導加算」算定

食事・運動療法のみの人の場合

  • 再診料・外来管理加算
  • 特定疾患療費管理料
  • 検査料 など

下矢印

月額自己負担額 12,170円×3割  月に3,651円

年間自己負担額 3,651円×12ヶ月 年間43,812円

2種類の経口薬療法の人の場合

  • 再診料・外来管理加算
  • 特定疾患療費管理料
  • 検査料
  • 処方箋料
  • 経口薬 など

下矢印

月額自己負担額 36,580円×3割  月に7,533円

年間自己負担額 7,533円×12ヶ月 年間90,396円

インスリン+経口薬療法+血糖自己測定

  • 再診料・外来管理加算
  • 特定疾患療費管理料
  • 検査料
  • 処方箋料
  • 経口薬
  • インスリン薬剤
  • 在宅自己注射指導管理料
  • 血糖自己測定の指導管理加算 など

下矢印

月額自己負担額 25,110円×3割  月に10,974円

年間自己負担額 10,974円×12ヶ月 年間131,688円

(糖尿病ネットワーク:「糖尿病の医療費・保険・制度 糖尿病になったらいくかかる?2012年実施」より)

※病院に行く頻度は個人によって異なります。

糖尿病の医療費を抑制するためには、早期発見、早期治療が欠かせません。

高額療養費って何?

手続き医療費が高額になれば、高額療養費の適用を受けることができます。その場合、医療費は一定の自己負担ですみます。

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、歴月(その月の1日から末日まで)で一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。※入院時の食費や差額ベッド代などは含まれません。

自己負担限度額は加入する公的な医療保険(国民健康保険や健康保険組合など)によって異なります。※健康保険に加入していても、毎月の保険料の支払いが滞っている場合は利用できません。

またあらかじめ高額になることがわかっている場合には、事前に申請しておくことも可能です。

治療後に払い戻す場合

  • 高額療養費払い戻し新生をすると自己負担限度額を終えて支払った金額が払い戻されます。
  • 高額療養費支払資金貸付制度を使用すると、給付金と相殺されます。

治療前に手続きする場合 → 立替不要!

  • 限度額適用認定証を病院に提出しておくと、窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。
  • 高額療養費受領委任払申請書を窓口に提出しておくと、支払いが自己負担限度額までとなります。

制度の適応や金額などについては、各医療保険によって異なります。

詳しくは、医療機関の相談窓口や加入している健康保険の窓口にお問い合わせください。

一口メモ:人工透析は長期高額疾病に指定健康保険の制度で、特定の疾病で長期的な治療が必要な場合に、月当たりの窓口負担に上限を設けてくれます。

人工透析が必要な慢性腎不全も対象になり、糖尿病で慢性腎不全になり、人工透析を長期的に行う方も申請できます。

該当する方は、申請により特定疾病療養受療証を交付。

慢性腎不全の場合は、毎月の窓口自己負担額は1万円(70歳未満の上位所得者は2万円)となります。※上位所得者とは、国民健康保険の算定の基礎となる基礎控除後の所得金額などが600万円を超える世帯

人工透析を導入する際に、病院や健康保険からお話があると思います。必要に応じて申請しましょう。

その他の助成制度

役所高額療養費以外にも、治療費の助成制度があります。

小児慢性特定疾病の医療費助成

対象:原則18歳未満

原則18歳未満で、特定の疾患を患った方に対する助成制度。その中に糖尿病も含まれています。
納税額によって治療費の自己負担額が決められます。

→ 小児慢性特定疾病情報センター

申請は各地域の保健所で受け付けているので、詳しくは各地域の保険所にお問い合わせください。

特別児童扶養手当

対象:心身に障害を持つ20歳未満のお子さんがいる家庭

障害の程度に応じて1級と2級に分かれ、年3回扶養手当が支給されます。※本人・本人の配偶者・保護者の収入が一定以上の金額の場合は支給されません。

所得や障害の程度については毎年見直しがあるので、詳しくは市区町村の窓口へお問い合わせください。

障害基礎年金

国民年金の加入者が重度障害者になった時に支給される年金です。

糖尿病の場合、合併症の有無や四肢の障害など細かく定められてあり、総合的に考慮されます。

糖尿病の初診日や障害の認定日・年金の加入状況などさまざまな要件で支給金額が変わってきます。詳しくは市区町村の窓口へお問い合わせください。

自立支援医療

心身障害をもつ人の負担軽減のため、治療費用を助成してくれる国の制度です。

糖尿病の場合は主に人工透析や腎移植を受けている方が対象になります。

所得に応じて治療費用の自己負担限度額が決められます。

詳しくは市区町村の窓口へお問い合わせください。

医療費以外の公的補助

足の切断や生活に支障が出るほどの視力低下、失明などの場合は、身体障害者として認定を受けます。

認定を受けると住んでいる自治体ごとに様々なサービスが受けられます。

  • 電車料道路料金、タクシー料金の割引
  • 電車・バスなどの交通運賃の各種割引
  • デイサービス・ヘルパー利用の補助
  • 税金の控除
  • 水道料金・下水道料金の免除制度
  • 自治体運営の施設の利用料免除 など

詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。

ジェネリック医薬品の選択

薬少しでも医薬品の負担を減らしたい場合、ジェネリック医療品の選択も考えられます。

ジェネリック医薬品とは、特許の切れた新薬と同じ有効成分で作られた薬品です。価格は新薬に比べて3~7割安いのが特徴。薬事法による基準はクリアしているものなので、品質が悪いということはないとされています。

糖尿病患者さんの場合、年間の医薬品代が高いので、ジェネリック医薬品に替えるのも選択の一つです。

ただし、ジェネリック医薬品は有効成分が同じでも、製造法や基剤は異なるので、新薬とまったく同じではありません。また、切り替えには医師の了解が必要です。

その他の費用

医療費以外にも様々な費用がかかります。

  • 通院のための交通費
  • メガネ
  • 車椅子
  • 血圧測定器
  • 糖尿病患者向け食品・食材
  • 塩分濃度計
  • 運動のためのグッズ
  • セミナー、教室参加費用
  • 糖尿病に関する書籍代
  • 住宅リフォーム、介護関連費用 など

上記は、すべての糖尿病患者さんに必要なものではありません。患者さんによって必要になってくると考えられる主なものです。

まとめ

医療費は治療の内容や処方する薬剤、合併症の有無などによって大きく変わりますが、病状が進行するほど医療費は高くなります。

早期発見、早期治療が、体にかかる負担が少なく、医療費も抑えることができます。

治療に当たって様々な助成が行われていますので、医療機関や市区町村の窓口にご相談、お問い合わせください。