合併症を調べる検査

検査、診療

糖尿病は様々な合併症を伴いやすい病気です。

もし合併症があれば、糖尿病の治療と平行して、それらの治療も行わなければなりません。

そのため糖尿病と診断されると、合併症の有無、状態を確認するための検査が行われます。

主な検査

合併症を調べる主な検査です。

目:糖尿病網膜症、白内障、緑内障

高血糖が続くと、網膜内の血管が障害されて糖尿病網膜症が起こり、視力の低下や失明の危険があります。

また、緑内障や糖尿病でない人に比べて早くに白内障が起こりやすくなります。

眼底検査

眼底カメラで目を観察し、網膜の血管に異常がないか調べます。

その他、視力検査、視野測定などがあります。

目の合併症は、眼科と連携して検査、治療が行われます。

腎臓:糖尿病腎症

糖尿病になると、腎臓でろ過の役割をしている糸球体の毛細血管が損なわれ、腎臓が正常に機能しなくなり、老廃物がうまく排泄できなくなってしまいます。

ひどい場合は腎不全となり、命に関わる病気へとつながります。

大変厳しい食事療法が必要で、カロリー、炭水化物の制限に加えて、タンパク質や塩分のコントロールも必要になります。

寿命にも大きく影響する病気のため、検査が重要です。

尿中たんぱく検査

尿中に流れ出たタンパクの量で腎臓の機能を調べる検査。

尿中微量アルブミン検査

尿中に流れ出たアルブミンというタンパク質で腎臓の機能を調べる検査。

尿たんぱくが出るのは腎症がある程度進んだ状態なので、腎症を早期に発見する手段として重要です。

クレアチニンクリアランス検査

体にたまった不要なものを、尿に溶かしてどれだけ排泄できるかを調べる検査。

一定時間内の血中と尿中のクレアチニン濃度を測定することによって腎機能の指標になります。

神経:糖尿病神経障害

高血糖が続くと、自律神経に障害が起こるため、ちょっとした足の傷や、火傷に気づかないほど、痛みを感じにくくなります。

それらを気づかずに放置し、潰瘍や壊疽(えそ)になって気づいたときには手遅れということも!

症状によっては、足の切断が必要があるため、日々のチェックとともに検査が重要です。

腱反射テスト

膝小僧の下、アキレス腱などを専用の器具で軽く叩き、反応を見るテスト。

振動覚検査

くるぶしなどに振動させた音叉をあて、振動を感じる時間を計る検査。神経障害が進行すると、振動を感じる時間が短くなります。

知覚検査

皮膚をフィラメントという細長い繊維で軽くつついて、痛覚を調べる検査。

神経伝導検査

刺激した後に神経に伝わる波の速さや大きさを、電気的に調べる検査。

心拍変動検査

心電図をとりながら心拍に変動があるかを調べる検査。自律神経に障害があると、呼吸による心拍の変動が少なくなります。

血管の検査

高血糖が続くと血管がもろくなり、動脈硬化を促進させます。

脳卒中や心筋梗塞を防ぐために重要な検査です。

血圧検査

血圧を測り、動脈硬化の状態を調べます。

収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)の差を「脈圧」といいますが、脈圧が大きくなってきた場合は、動脈硬化が進んでいることを表します。

糖尿病の合併症では、特に足の血流障害による下肢閉塞性動脈硬化症が多くみられるため、足背動脈や後脛骨動脈の血圧測定は大切な検査です。

血清脂質検査

血液中に中性脂肪やコレステロールが増えすぎていないか調べる検査です。

動脈硬化の原因の一つが、「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールが高く、「善玉」といわれるHDLコレステロールが低くなる「脂質異常症(高脂血症)」。

脂質異常症(高脂血症)には自覚症状がありませんが、放置すると、動脈硬化から狭心症や心筋梗塞、脳梗塞など、死につながる重い病気を引き起こすため、早期発見、症状改善のために必要な検査です。

頸動脈超音波検査

首の左右にある頚動脈の内部を超音波で画像に映し出し、頚動脈の状態を調べます。動脈硬化の程度がわかる検査です。

脳:脳梗塞の検査

高血糖が続くと、動脈硬化を促進します。脳に動脈硬化が起こると、脳梗塞や脳出血などの危険性が高まります。

頭部超音波(CT)検査

X線で撮影した脳をコンピュータ解析し、頭蓋骨の中の様子を5mm~1cm間隔の輪切りにした画像を映し出す検査。

頭蓋内の血腫の大きさや場所、脳腫瘍の大きさや場所、種類、良性か悪性か、脳血管障害の場所や傷害範囲などがわかります。

頭部MRI

磁力を使って撮影し、頭部の断面を画像化する検査。

頭蓋骨に覆われている脳も映しだすことができるほか、CT検査では写りにくい塞栓部の発見も可能です。

心臓:狭心症・心筋梗塞の検査

高血糖が続くと、動脈硬化を促進します。心臓に動脈硬化が起こると、狭心症や心筋梗塞などの危険性が高まります。

胸部レントゲン検査

心臓の肥大、動脈硬化を調べる検査。肺炎や肺結核なども発見できます。

心電図

心臓の拍動に異常がないか調べる検査。

心臓エコー

超音波を用いて心臓の状態を画像としてみることができる検査。心臓の肥大の状態などが調べられます。

冠動脈造影検査

血管にカテーテルと呼ばれる管を挿入し、そこから造影剤を血管に流し入れてX線撮影。血管の中や血流の状態を確認することができます。

これらの検査は最初だけでなく、定期的に行われます。

ただし、必ずすべてというものではなく、医師の判断によって必要と考えられるものが行われます。

合併症は一度発症すると治療が難しいものが多いです。

早期発見のために、定期的にしっかり検査を受けましょう。