血糖値は様々な要因で絶えず変化しています。
「糖尿病かどうかがわかる検査」では、調べたその時点での状態しかわからず、正確な血糖の状態がわかりません。
これでは適切な治療の方針が立てられないため、過去のある一定の血糖状態がわかる検査が行われます。
目次
検査
以下は主な検査です。
グリコヘモグロビン検査(HbA1c)
グリコとは「糖」、ヘモグロビンは血中の酸素運搬約である「血色素」のこと。
グリコヘモグロビンとは、赤血球のヘモグロビンというタンパク質にブドウ糖が結合したものです。
血中の糖が高くなると、糖とヘモグロビンが結合して離れなくなります。赤血球中のヘモグロビンのうちどれくらいの割合が糖と結合しているかを示すのがグリコヘモグロビン検査(HbA1c)です。
ふだんの血糖値が高い人はHbA1c値が高くなり ふだんの血糖値が低い人はHbA1c値も低くなります。
食事の量や時間に影響されやすい血糖値と異なり、過去1~2ヶ月の安定した血糖状態がわかるので、糖尿病管理の上で重要な指標とされています。
基準値は5.8%未満。空腹時血糖値とともに、血糖コントロールの指標として重要です。
グリコアルブミン検査(GA)
グリコアルブミンとは、タンパク質の一種であるアルブミンが糖と結合したものです。
アルブミンはヘモグロビンより寿命が短く、過去約2週間の血糖値を反映しています。
HbA1cは貧血や尿素窒素などに影響されますが、グリコアルブミンは影響を受けにくいので、貧血や尿素窒素の高い人では重要な指標になります。
基準値は11~16%。高血糖の状態が続くほど量が増えます。
1,5-アンヒドログルシトール検査(1,5-AG)
1,5-AGとは、ブドウ糖とよく似た物質で、過去3~4日の血糖値を反映します。
HbA1cが8%未満の比較的よいコントロール状態の糖尿病の人の診断や管理に有用です。
基準値は、14.0μg/mL以上です。
C-ペプチド検査
C-ペプチドとは、インスリンが作られる過程でできる物質で、体内で利用されることなくほとんどが尿中に排泄されます。血中や尿中のC-ペプチドを測定することで、インスリン分泌量を推定することができます。
尿中C-ペプチドは、24時間の尿をためて測定するので、入院中によく行われる検査です。
基準値は尿中C-ペプチドが40~100μg/日で、20μg/日以下になると内因性インスリン不足とされ、インスリンを外から補うことが必要と診断されます。
血中C-ペプチドは、基準値が1~3ng/mLで、0.5ng/mL以下だと内因性のインスリン不足と診断されます。
インスリン注射をしている人の場合、血中インスリンを正確に測定しても、それが注射によるものか自分で分泌しているものかわかりませんが、C-ペプチドを測定することで、自分のインスリン分泌量を知ることができます。
尿ケトン体検査
ケトン体とは、体内で脂肪が分解される時に出る物質です。インスリンの作用不足でブドウ糖がエネルギーとして使われていないと出てきます。
ケトン体は血液でも測定することができ、血中ケトン体のほうが詳しく情報が得られますが、尿中ケトン体のほうが試験紙が市販されており、自分でも測定できます。
尿中ケトン体は、正常が-(陰性)で、ケトン体が出ていると+(陽性)となります。
糖尿病とわかったら、また治療中の人は病気の経過を知るために行われる検査です。
糖尿病の状態を調べながら、治療の方針を決めていきます。
1型糖尿病は自己免疫の異常によって起こる病気なので、発症直近に血中にあらわれる抗体を調べることで、1型糖尿病の可能性を把握することができます。
・抗膵島(こうすいとう)細胞抗体(ICA)
・抗グルタミン酸炭酸酵素(抗GAD)
・インスリン自己抗体(IAA)
などです。
これらの抗体は、1型発症前後に特に高い数値(陽性)を示し、その後低下していきます。これらの抗体の存在が確認できれば1型と診断できます。
ただし、陽性率は100%ではないので、陽性でない場合でも、その他の検査の値や症状から診断されることがあります。糖尿病の経過に伴って、抗体が消えていくことが多いからです。
最近は1型または2型に関係の深い遺伝子やがいくつか発見されており、大きな病院や大学病院などでは遺伝子の検査も行われています。