血圧高くありませんか?
糖尿病の人の40~60%が高血圧を持っています。
これは、糖尿病の方でない方に比べ、高血圧になる頻度が2倍高いといわれています。
一方、高血圧の方で糖尿病である方は、そうでない方と比べ、その頻度は2~3倍高いそうです。
糖尿病や高血圧があると互いの病気が併発しやすく、注意が必要です。
なぜ併発すると怖いのかというと、動脈硬化の促進と合併症を加速させてしまうから。
動脈硬化は様々な病気を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞などの、命の危険につながる病気のリスクを高めてしまいます。
糖尿病の方は、日々の血圧チェック、高血圧予防が特に重要です。
高血圧について、またなぜなりやすいのか、予防法などを詳しく紹介します。
目次
高血圧症とは?
血圧とは、心臓から送り出された血液で、血管(動脈)の内側の壁にかかる圧力のこと。
高血圧症とは、その血圧がいつも基準値より高くなっている状態です。
収縮期が140mmHg以上、かつ/または拡張期が90mmHg以上
圧力が強すぎると、全身の動脈は高い圧力に負けないように壁を厚くするため、血管壁が厚くなります。脳の血管が硬くなれば、脳出血の危険性が高まり、心臓の血管が硬くなり、心臓の血の巡りが悪くなると、心筋梗塞などになりやすいです。
また、圧力の刺激によって血管の内側が傷つきやすくなってしまいます。ここに悪玉コレステロールが入ると、プラークができます。プラークができると血流を悪くし、破れると血の塊ができ血栓となります。この血栓が、脳で詰まれば脳梗塞、心臓で詰まれば心筋梗塞を起こします。
自覚症状がなく、気づかないことが多い高血圧ですが、血管を傷つけてしまうとても怖い病気です。
なぜなりやすい?
糖尿病の人はなぜ高血圧になりやすいのでしょうか?
高血糖で循環血液量が増えるため
糖尿病で血糖値が高くなると、ナトリウムの腎臓での再吸収が増えるため、その結果、循環血液量が増え、血圧が上がってしまいます。
肥満
肥満は、交感神経が緊張し、血圧を上げるホルモンが多く分泌され高血圧になります。
糖尿病(2型糖尿病)の人は太っていることが多く、高血圧になりやすいです。
インスリン抵抗性があるため
インスリン抵抗性により「高インスリン血症」を招くと、交感神経が緊張し、血圧を上げるホルモンが多く分泌され血圧が高くなります。
高インスリン血症とは高インスリン血症とは、インスリン抵抗性(体の中でインスリンが利きにくい状態)によって、体内のインスリンが常時多い目に分泌されてしまう状態のことです。
活性酸素が増えるため
糖尿病では、活性酸素の産生が増えます。
その結果、それを打ち消そうと血管を広げる働きのある一酸化窒素が消費されてしまうため血圧が上がりやすくなります。
糖尿病性腎症から
糖尿病腎症があると、血液のろ過機能が低下するため血液量が増えたり、腎臓から血圧を上げるホルモン(レニン)が分泌されたりし、血圧が上昇してしまいます。
糖尿病の人は、高血圧になりやすいファクターをたくさん持っています。
治療をしないで放っておくと?
高血圧症も糖尿病と同じく、自覚症状がなく、気づかないうちに高血圧になっていることが多いです。
動脈硬化の進行を早める
動脈硬化は、動脈が弾力を失い、もろくなったり、内腔が狭くなった状態をいいます。進行すると、血液がスムーズに流れなくなります。
糖尿病の場合、予備群の段階から動脈硬化が進みます。
そこに高血圧が加わると、その進行をますます早めてしまいます。
動脈硬化が進んでしまうと、命の危険が伴う病気へのリスクが高まります。
糖尿病合併症を加速させる
糖尿病の治療の目的は、合併症を防ぐことにあると言ってもいいぐらいです。
腎臓は血液をろ過し、血液中の老廃物や余分な水分を尿として体外に排出してくれる臓器です。絶えず大量の血液が流れています。
そのため、血圧が高いと腎臓へ多くの負担がかかってしまい、糖尿病腎症を発症しやすくなってしまいます。また進行するにつれて血圧が上昇するため、さらに腎症が進行するという悪循環に陥いります。
他にも、高血圧は網膜内の血管にも悪影響を及ぼし、網膜症を進行させるなど、糖尿病に高血圧が加わると合併症の進行が加速度的に進んでしまいます。
予防するには?改善7つの対策
高血圧を予防・改善するための対策はたくさんありますが、その中でも特に重要な7つの対策を紹介します。
減塩
血液中の塩分(ナトリウム)濃度は常に一定に保たれています。
しかし、塩分を摂り過ぎ体内にナトリウムが増えすぎると、体液のナトリウム濃度を一定に保つため、体内の水分量を増加させます。
その結果、血液量が増え、心拍出量も増加。血管への圧力が高まり、血圧が上がってしまいます。
塩分濃度を上げないためにも、塩分の摂り過ぎに注意が必要です。
日本人は塩分を摂り過ぎる傾向にあるので、1日6g未満の摂取を心がけましょう。
肥満解消
太っているだけで、血圧は上昇しやすくなります。
特に、「内臓脂肪型肥満」。
内臓の脂肪細胞に中性脂肪がたまると、血液中のインスリン濃度が高くなる「高インスリン血症」を招きます。すると、交感神経の緊張が高まり、血圧を上げるホルモンが分泌。また腎臓でナトリウムを取り込む量も増えるため、血液量の増加を促進。結果、血圧を上げることになります。
高血圧を改善するために降圧薬を服用しても、肥満が原因で薬が効きにくくなってしまいます。
肥満の方は、適切な食事、運動をバランスよく継続して行い、解消することを心がけましょう。
禁煙
タバコを吸うとニコチンの作用で交感神経が刺激され、1本吸っただけでも血圧の高い状態が15分以上継続するのは確実です。
またタバコに含まれる一酸化炭素などの物質によって血管の内皮細胞が傷つき、血液が固まりやすくなり、悪玉コレステロールが増加。動脈硬化を進行させてしまいます。
まさに「百害あって一利なし」。
タバコを吸われている方の中には、せめて少しでも減らそうとしている方もおられるかもしれませんが、残念ながらたとえ1本でも吸い続ける限り病気のリスクは増します。
また、今さら止めても遅い・・・
そんな風に考えている方もおられるかもしれません。
しかしそんなことはありません。禁煙すれば、リスクが減ることは明らかになっています。
減煙、節煙ではなく、禁煙に取り組みましょう。
運動
普段運動をする習慣がないと、ちょっとした動作でも血圧が急上昇。また、運動不足は肥満の原因にもなります。
運動には、水分やナトリウムの排出を促す利尿ホルモンを活性化したり、血管を広げる物質の産出を促すなどの血圧降下作用があります。
ウォーキングや軽いジョギング、ゆっくりとした水泳などの有酸素運動がおすすめ。長く続けると血圧を下げる効果があります。
しかし、運動をあまりしていない方が、急に始める、継続するのは難しいと思います。まずはとにかくこれまでより1,000歩多く歩くことを心がけましょう。
ストレス解消
家庭や仕事上でのトラブル、心配事、人間関係の悩みなど、ストレスを受けることが多々あります。現代においてストレスのない生活はありえない状況です。
しかし、ストレスを受けると交感神経が刺激され、血圧を上げるホルモンの分泌量が増し、血圧上昇を招きます。
ストレスをゼロにすることは難しいですが、自分なりの対処法、解消法で、溜め込まず、発散するようにしましょう。
睡眠
睡眠が十分でないと、血圧が高くなりやすいことがわかっています。
また、睡眠は本当に重要で、この時間に体全体の修復が行われています。もちろん、傷ついた血管の修復もこの時行われます。
体全体の修復には最低でも6時間ぐらいかかるといわれているので、まずは6時間以上の睡眠時間を確保すること。
中でも眠り始めの90分が特に大事で、この時に成長ホルモンの分泌が高まるといわれています。
ただ寝るだけではダメ!
質のいい睡眠を心がけましょう。
高血圧の主な予防法ですが、こうしてみてみると、糖尿病の予防・改善とほとんど変わりませんよね。
塩分の摂り過ぎに気を使う必要がありますが、それ以外はほぼ同じです。
毎日の食生活、生活習慣を大切にしましょう。
チェック法
家庭用の血圧計はいろんなタイプが販売されていますが、最も誤差が少ないのは上腕にカフを巻くタイプ。
手首や指先で測るタイプは手軽なんですが、血管をうまく圧迫できなかったり、血管が細すぎるために誤差が生じやすくなります。そこがデメリット。
またカフの大きさによっても、値がすこし変わります。腕の太さによって違いはありますが、カフ幅が広くて長い15×42cmのものなどが安定しているようです。
少なくても朝と夜の1日2度、できるだけ同じ状態や条件で測定しましょう。
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まとめ
糖尿病は高血圧を併発しやすく、併発するとどちらも重症化しやすいです。
さらに怖いのが、
- 動脈硬化の進行を早めてしまうこと。
- 合併症を加速的に進行してしまうこと。
動脈硬化は様々な病気を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる病気の発症リスクを高めてしまいます。
また糖尿病の治療は合併症を発症・進行させないために行っているといっても過言ではないにもかかわらず、加速的に進行してしまってはたまりません。
高血圧の予防・改善は、糖尿病の予防・改善に大きく関わります。
高血圧と2型糖尿病はどちらも食生活・生活習慣が大きく関わっている病気です。
食生活・生活習慣改善対策を怠らず、予防、治療をしっかり行いましょう。