糖尿病&予備群の人が絶対にタバコを止めないといけない理由とは?

禁煙

タバコは体に様々な悪影響を与えますが、これが糖尿病の人となるとさらに危険が高まります。

そのため、喫煙習慣のある糖尿病の患者さんに対し、医師は必ず禁煙するよう指導されます。

なぜ絶対に禁煙しないといけないのか、その理由について紹介します。

目次

タバコがもたらす健康障害

タバコの害

タバコの煙には5000種類の化学物質、200種類の有害物質、60種類の発がん性物質が含まれているといわれています。

その中でも特に問題なのが、

  • タール
  • ニコチン
  • 一酸化炭素

です。

タール

代表的な発がん性物質です。肺がんや咽頭がんなどの原因になります。

ニコチン

抹消血管収縮や血圧上昇、心拍増加などの作用のあるニコチン。心臓や血管に障害をもたらす原因物質です。

またタバコに依存性があるのは、このニコチンの作用によるためです。

一酸化炭素

血液中の酸素の運搬役を担っているヘモグロビンと結合しやすい物質で、血液の酸素運搬力を低下させます。喫煙習慣によって酸素不足の状態が慢性的に続きます。

喫煙者の5人に1人は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)になっています。

また、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減少させたり、ニコチンと一酸化炭素の複合的な作用によって、動脈硬化が促進され、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、閉塞性動脈硬化症などの重大な障害のもとになったりします。

さらに問題になるのが、「受動喫煙」です。

喫煙によって、周りの人にまで被害を与えてしまいます。ある推計によると、非喫煙者の心筋梗塞による死亡のうち、約20%は受動喫煙が原因になっているのだそうです。

タバコがもつ怖い2つの依存性

「禁煙しようと思ってもまた吸ってしまう・・・」

その原因は、タバコの煙に含まれている「ニコチン」。強い依存性を持っているからです。

タバコ依存には2つの種類があります。

タバコ依存

「朝起きたら」、「食後に」など、タバコがあれば安心できるというタイプ。

ニコチン依存

タバコを吸うとニコチンが数秒で脳に届き、「タバコがおいしい」「ほっとする」など快感を感じる物質が放出されます。その快感が忘れられず、吸いたくなるタイプ。

タバコ依存だけの状態の方は、今のうちに生活改善をすることで禁煙できる可能性が高いです。

しかし「タバコ依存+ニコチン依存」、さらに進み「ニコチン依存」になると自分で禁煙するのはとても難しいです。

糖尿病&予備群の人が禁煙しないといけない理由

病気

喫煙が血糖コントロールを乱したり、インスリン感受性に悪影響を与えたりすることは、直接的にはありません。

しかし、喫煙すると血管が収縮して血圧が上昇し、血管壁を傷つけます。すると、動脈硬化を招き、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの危険性を高め、腎不全のリスクなども高まります。

糖尿病発症誘因の一つになり、吸わない人の1.5倍に上昇するともいわれています。

そしてそれ以上に、血管障害を代表とする糖尿病の合併症に対し、喫煙がさらに拍車をかけ、危険な結果を招く恐れがあります。

糖尿病の合併症の中でも最も頻度が高いのが、血管の障害です。

  • 細小血管の合併症
    糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎性
  • 大血管の合併症
    動脈硬化 → その結果、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など

喫煙は、糖尿病によって痛めつけられている血管にさらにダメージを与え、合併症の発症、進行へとつなげてしまいます。

失明や人工透析、脳梗塞などによる重い後遺症、もちろん命の危険性もあります。

健康な人もですが、糖尿病に人は絶対に禁煙が必要です。

タバコを止めるための対策

禁煙喫煙習慣がある人は、「今すぐ禁煙しましょう」といわれてもそう簡単にはできないかもしれません。

”止める”という意志の強さが大切ですが、それだけで乗り越えることは多くの人は難しいのではないでしょうか。

まずは、手持ちのタバコと灰皿やライターなどの喫煙グッズを捨てましょう。

そして、喫煙所には近づかないようにすることが大切です。

私の父が喫煙者だったのですが、社内でタバコを吸う人が数人いて、どうしてもその煙が呼び水となって、禁煙しようと思っても、また吸いたくなってしまうと言っていました。

今は禁煙がより推進され、タバコを吸っていい場所が減ってきていますが、とにかく近づかないことが大切です。

-主な対策ポイント-

◆生活パターンを変える
・朝の行動の順序を変える。
・食後早めに席を立つ。
・ストレスを溜めないようにする。

◆環境改善
・タバコやライターなどの喫煙グッズを捨てる。
・喫煙者やタバコの煙があるところに近寄らない。
・タバコを買える場所に近づかない。

◆喫煙の代わりになる行動
・深呼吸をする。
・冷たい水や熱いお茶を飲む。
・散歩や運動など、体を動かす。
・歯をみがく。
・糖分の少ないガムを噛む。
・趣味に没頭したり、楽しいことを考える。

「1本だけなら・・・」の甘いワナ
禁煙「今まできちんとできているのだから、久しぶりに1本ぐらいいいんじゃない・・・。」

これが一番怖い!

父も何度も失敗している原因です。

「たかが1本、されど1本」。あっという間に禁煙前の状態に戻ってしまいます。

「1本ぐらい」は絶対にダメです!!

市販の禁煙補助薬の紹介

市販の禁煙補助薬には、ニコチンパッチ(貼付剤)とニコチンガム(ガム剤)の2種類があります。

市販の禁煙補助薬

ニコチンパッチ

1日1枚皮膚に貼り、皮膚からニコチンを吸収させながら、徐々にニコチンの含有量が少ないものに切り替えていくタイプのニコチン製剤です。目安は8週間。

[製品例]
・ニコレットパッチ
・ニコチネルパッチ
・シガノンCQ透明パッチ

誰にも気付かれずに禁煙したい人や仕事等の関係ででガムを噛むのが難しい人などに向いています。

※使用状の注意
貼付剤が貼ってある部分の皮膚が温まると、ニコチンの吸収量が増えてしまいます。使用中は、長湯やサウナ、激しい運動などは控えましょう。

またかぶれなどにご注意ください。

ニコチンガム

タバコを吸いたいと思ったとき、1回1個を30~60分間かけて噛み、ニコチンを口の中の粘膜から吸収させるタイプのニコチン製剤です。

試用期間3ヶ月をメドに、ガムを使用する頻度を徐々に減らしていきます。

[製品例]
・ニコレット
・ニコチネル

「目覚めの一服」など習慣化している人や口寂しさでついタバコを吸ってしまう人などに向いています。

※副作用に注意
使用後、口の中やのどの刺激感、舌の荒れ、味覚の異常、唾液増加、歯肉炎、あごの痛み、しゃっくり、げっぷなどの症状が現れることがあります。
このような症状が続いたり、強まったりする場合は使用を中止し、医師や薬剤師に相談しましょう。

使用上の注意

◆禁煙補助薬使用NGの人
・タバコを吸わない人
・妊婦、妊娠していると思われる人
・授乳中の人
・重い心臓病を有する人
・急性期脳血管障害(脳梗塞、脳出血等)と医師に診断された人
・うつ病と診断されたことのある人

◆禁煙補助薬を使う人は絶対喫煙してはいけません!
禁煙補助薬を使っている間や直後は、血液中のニコチン濃度が高くなるので、他のニコチン製剤を使ったり、タバコはもちろん吸ってはダメです。

禁煙外来を活用しよう!

禁煙外来

自力では無理だと思われる人も多いと思います。

そんな方におすすめなのが「禁煙外来」です。

平成18年4月から「禁煙外来」が保険診療適用になりました。

ニコチンガムやニコチンパッチにより、ニコチンを体に吸収させて体を喫煙しているのに近い状態にし、徐々に使用量を減らしながら禁煙にまでもっていく、代替療法が行われています。

代替療法を行わないケースに比べ、禁煙成功率は、1.5~2.5倍ほど高まるといわれる診療です。

ただし、保険適用での禁煙治療にはいくつかの規定があります。

◆保険適用の規定
・1年以内に保険適用の禁煙治療を受けていないこと。
・ニコチン依存症のスクリーニングテスト(質問表)で5項目以上あてはまること。
・35歳以上の方で、1日の平均喫煙本数×喫煙年数が200以上であること。
・直ちに禁煙を始めたいという意志があること。
・禁煙治療受診に関する文書に同意していること。

◆費用
自己負担が3割の人は、使用する薬にもよりますが、約3ヶ月の治療スケジュールで約2万円。

様々な禁煙グッズが販売されていますが、禁煙外来での治療も方法の一つです。

まとめ

タバコは、体にいろいろな悪影響がありますが、糖尿病の人ではさらに危険が高まります。

特に合併症発症、進行に大きく影響します。

喫煙によって、失明や人工透析、合併症による重い後遺症。そして、命の危険・・・

糖尿病の患者さんにとって、喫煙は良いことがありません。

禁煙することは大変です。しかし、様々な禁煙グッズや医療機関などを活用し、なんとしてもタバコを止めましょう。

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