人間の体内で分泌されるインスリンには、1日中、常に分泌される「基礎インスリン」と、食事などの際に血糖値を下げるために分泌される「追加インスリン」の2種類があります。
糖尿病の方で、分泌がない人やインスリンの分泌が少なく飲み薬では対処できない人は、外から補わなければなりません。
その場合、一般的には注射によることが多いです。
しかし注射の場合、1日1回でよい場合もありますが、1日に4回、5回と行わなければならないこともあります。
1日に何回も注射するのは、実質的にも精神的にも大変です。
そこで、1日に何回も注射しなくてもよい方法が、インスリンポンプ療法(インスリン持続皮下注入療法(CSII))です。
目次
インスリンポンプ療法とは?
この療法は、「インスリンポンプ」と呼ばれるポンプ内に注射器がセットできるようになっており、その中にインスリンを入れ、注射器とチューブをつなげます。チューブの先端には小さな針がついてあり、その針を皮下に穿刺しインスリンの供給を行います。
ポンプ内には3~4日分のインスリンを入れておけるので、毎回針を刺す必要がなく、薬がなくなりかけたときに交換するだけ。
そのため、だいたい3~4日に一度の穿刺ですみます。
携帯しているポンプからは基礎分泌に相当するインスリンが微量ずつ持続的に注入され、食事などによって追加分泌が必要な時は比較的簡単なボタン操作で注入することが可能です。
また、チューブは着脱できるので、お風呂やプール、運動をする時などはチューブを取りはずして行うことができます。
インスリンポンプ療法は、設定をきちんとしておけば簡単ですし、注入のたびに針を刺す必要がないので、体への負担が少ないのが特徴です。
注意ポイント!
チューブを留置した場所が感染を起こしたり、しこりになることがあります。
同じところにしているとトラブルが起こりやすいので、時々場所を変えましょう。
またインスリンポンプ療法では、超速攻型のインスリン製剤を用いています。そのため、留置部分がはずれていたり、チューブが折れ曲がっているとすぐにインスリン不足になり、3時間も経つと高血糖になってしまいます。気をつけましょう。
まとめ
インスリンポンプ療法では、健康な人のインスリン分泌の状態に近い状況を作ることができます。
曜日や活動のスタイルに合わせた設定ができ、また、注入を途中で止めたり、量を変更したりすることもできるので、好きな時間にお風呂に入ったり運動したりすることが可能です。
そしてなにより、注射を頻繁にしなくてもよいのが特徴。
ポンプを体につけていなければいけませんが、針を刺すという心身への負担が少ない療法です。