最近は1日4~5回のインスリン注射をする方法が広く行われるようになり、より理想的な血糖状態に近づいた人が増えています。
しかし、どんなに注意していても高血糖や低血糖を起こしてしまうことがあります。
血糖値は決められたように変動するのではなく、食事や運動、体調、ストレスなど、様々な条件で刻々と変化しています。1日数回測定をしても、すべてを正確につかみきれるものではありません。
そこで用いられるのが「CGM(持続血糖測定)」です。
目次
CGM(持続血糖測定)とは?
糖尿病治療では、低血糖を回避しながら高血糖を抑えるという、適切な血糖コントロールを行うことが重要です。
そのためには、医師が患者さんの血糖値変動を的確に把握する必要があります。
一般的には患者さん自身による自己血糖測定の値を用いています。しかしそれだけでは、1日を通した総合的な血糖値を確認することは困難です。
そこで、血糖値を1日中続けて測定できるのが持続血糖測定法。「Continuous Glucose Monitoring」の頭文字をとって、「CGM(持続血糖測定)」と呼ばれています。
CGMは、血糖値センサーを皮下に挿入し、5分ごとに読み取った血糖値を、体外の受信機に送信して表示する装置です。
この装置を継続的に装置することで、24時間の血糖値を測定することが可能で、例え睡眠中であってもその動きを把握することができます。
1日に2000回から3000回測定します。
ただし、CGMは血管に針を刺しているわけではありません。
細胞間の液体に含まれる糖分の濃度を測定しているため、時間差があり、実際の状態が示されるのは約10分後になります。また、血糖値が40mg/dL以下の場合や、400mg/dLの場合は誤差が大きくなると考えられます。
-主な対象者-
- 血糖コントロールが安定しない人
- 妊娠中の人
- 手術をする人
など、血糖値が乱れやすい人です。
メリット
- 血糖値を24時間連続して測定できる。
- 「夜間の無感覚低血糖」や朝方の血糖上昇「暁現象」などがわかる。
- 機器が小さく、端末操作の必要がない。
- 防水性が高く入浴も可能である。
- 血糖変動を正確に把握できるので、患者さんにあった治療計画を立てることができる。
一般的な測定方法では、その時点の「点」としてしか把握できず、後は予測になりますが、この方法であれば「線」で把握することができ、より正確な状態を知ることができます。
検査は基本的には入院をすることになりますが、病院やクリニックによっては、3日間ほどの短期入院でも検査を受けることが可能です。
まとめ
CGM法は、血糖値の変動を連続的に測定する持続型血糖測定モニター(機器)によって、昼夜を問わず1日を通しての変動パターンを調べることができる方法です。
血糖自己測定が指先など静脈血を使って調べるのに対し、CGMはお腹などの皮膚の表面に針を刺し、皮下の間質液に含まれるブドウ糖の量を測ります。
1日の血糖値の変動をより正確に知ることができるため、患者さんの状態により合った治療を行うことができます。