糖尿病は、遺伝が関わってくる病気です。
しかしここで重要なのは、病気そのものが遺伝するわけではないということです。
成人してから糖尿病になる人の大半は、遺伝体質に後天的な誘因条件が加わって発病します。
主な後天的誘因条件としてあげられるのは、食べすぎ、肥満、運動不足、睡眠不足などです。
2型糖尿病の発症には、日常の生活習慣が深く関わっています。
-メカニズム-
【体質】
糖尿病は加齢、遺伝的要素(体質)が深く関わる病気です。
親や祖父母、叔父叔母など、血縁者に闘病尿になった場合は、遺伝子を受け継いでいることが多いです。
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【生活習慣】
食べ過ぎやアルコールの飲みすぎ、運動不足、ストレス など
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糖尿病
そのため、「生活習慣病」ともいわれています。
目次
誘因
2型糖尿病を発症させる主な誘因です。
食べすぎ、肥満
外食産業が発達し、スーパーやコンビニ、自動販売機がいたるところにある現代。自分で調理しなくても、いつでもどこでも飲食が可能になりました。そのため、適正エネルギーを上回るカロリーオーバー状態の人が増えています。
さらに、甘い食べ物や糖質が好きな人は、血糖値が上がり、いっそう危険です。
運動不足
車や電車、バスなど、交通の便が良くなり、通勤・移動中もあまり体を動かさずに済むようになりました。
さらにデスクワークや座っての作業、子どもも外遊びよりも室内でゲームなどで遊ぶことが増え、体力が低下しています。
体を動かさないと筋肉量が減り、エネルギーの消費量が落ち、血糖値が上がりやすくなります。
不規則な生活
朝食を食べなかったり、夕食は深夜で、食べたらすぐ寝たり。ドカ食いしたり、早食いしたり。
そんな生活は、すい臓が悲鳴をあげ、血糖値を下げるインスリンを出す細胞が疲れてしまい、糖尿病の発症につながってしまいます。
ストレス
ストレスはインスリンのは働きを弱め、血糖値が上がりやすくなります。
イライラをためやすい人や趣味が特にない人などは注意!ストレスがうまく発散できないため高血糖になることが多くなり、糖尿病になりやすくなります。
加齢
年齢とともに糖の代謝機能は低下します。内臓脂肪が増加し、インスリンの働きを弱めてしまいます。
遺伝
糖尿病そのものは遺伝しませんが、糖尿病になりやすい体質は遺伝します。
加齢や遺伝は対処ができませんが、食生活や生活習慣などは生活を見直し、改善することで対応することができます。
放っておくと、合併症に!
2型糖尿病は、初期のうちは自覚症状がほとんどありません。
そのため、「血糖値が高い」と言われても、大したことがないと思って治療を受けない人や、途中で治療を止めてしまう人が少なくありません。
しかし、治療をせず放っておくと、様々な合併症を起こす可能性があり、場合によっては失明、足の切断、命に関わる事態になり、大変危険です。
合併症を発症する主因
高血糖の状態が続いていると、血管が障害を受けます。
血管障害はまず毛細血管などの細い血管からはじまり、さらに高血糖状態が続くと、太い血管にも及びます。
境界型で糖尿病型に近い場合や、食後高血糖が続く場合も、動脈硬化が確実に進みます。
血管は全身をくまなく巡っているため、当然その影響も全身に及びます。
その結果、体の様々なところで合併症を発症してしまいます。
進行すると怖い!合併症とは
合併症は、血糖値が高い状態が続くことによって起こる、糖尿病に関連する病気です。
いろいろな病気が全身で進行します。
・網膜症(眼底出血)
・白内障
・顔面神経麻痺
・突発性難聴
・歯周炎
・虫歯
・高血圧
・不整脈
・狭心症
・心筋梗塞
・肺炎
・腎症
・排尿障害
・便秘・下痢
・下肢閉塞性動脈硬化症
・皮膚炎(全身)
・神経障害(全身)
・認知症
・睡眠時無呼吸症候群
その他にも、がんなども、糖尿病の人は発症頻度が高くなることがわかっています。
さらに、意識不明の状態になる糖尿病性昏睡(ケトアシドーシス)。これは糖尿病が進行してから起こる急性の合併症です。
3大合併症
中でも代表的な障害が、「網膜症」、「腎症」、「神経障害」。
糖尿病の「3大合併症(細小血管症)」と呼ばれています。
糖尿病網膜症
目の網膜は細い血管が集まっており、そこに障害が生じることによって視力が低下し、失明することもあります。
糖尿病網膜症は、成人における失明原因の第2位になっている怖い合併症です。
糖尿病腎症
腎臓の細い血管に障害が生じることによって、腎臓が本来行っている血液をろ過するという働きがうまく機能しなくなります。
悪化すると、人工透析が必要になることも。
糖尿病神経障害
両足のしびれや痛み、感覚の低下など足に障害がみられます。
また、立ちくらみ、吐き気や嘔吐、便秘、下痢などの消化器症状なども見られることがあります。
現われる順番
合併症の現われ方は人により違いますが、一般的には神経障害に最初に気づく人が多いといわれています。
神経障害:発症5年ごろから
↓
網膜症:発症から10年目ごろから
↓
腎症:発症から15年目ごろから
合併症は一つずつ順に起こっていくというのではありませんし、上記の順番で必ず現われるわけでもありません。
また、複数が同時に進行することも多々あります。
まとめ
2型糖尿病の発症の原因は、ひとつではありません。
遺伝的要素のほか、食べ過ぎや肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣に、加齢などの要因が加わり、発症するといわれています。
遺伝体質や加齢はどうしようもありませんが、乱れた生活習慣を見直し改善することが、予防、改善につながります。
また糖尿病で怖いのは、「沈黙の病気」といわれるように、血糖値が上がってもほとんど自覚症状がないことです。そしてさらに高血糖が続くと、合併症へと進行していきます。
合併症は、糖尿病の初期から起こる可能性があります。そして、その危険度は年々増加。治療をきちんとしていた人としていなかった人の差はとても大きくなります。
比較的軽症のうちに発見できれば、血糖値をコントロールするだけで済みます。
しかしある程度進行すると、積極的な治療が必要になり、さらに悪化すると、治療をしても進行を遅らせる程度のことしかできなくなります。
合併症を発症させないためにも、糖尿病と診断されたら放置せず、すぐに、そしてしっかり治療を行い、定期的に検査を受けましょう。