2型糖尿病の発症には、「肥満」「食生活の乱れ」「運動不足」などが関係しています。
そのため治療は、「食生活の改善」と「運動」がまず中心となります。
目次
なぜ食事の量が決められるの?
糖尿病ではすい臓が疲弊しているため、分泌されるインスリンの量が低下しています。
その状態で多量の食事をとると、血糖値を下げるためにすい臓はさらにインスリンを分泌しようとし、ますます低下していきます。
さらに肥満があると、インスリンの働きが悪くなってしまいます。
適正体重にし、すい臓の負担を軽くすることが重要です。
自分に適した食事量を知ろう!
血糖値の上がりすぎを抑え、正常な状態にしていくには、必要なエネルギー量を正確に知る必要があります。
適正な摂取エネルギー量は、年齢や性別、体格、身体活動量によって異なります。
また、肥満がある場合、ない場合では適正エネルギー量の計算が変わってきます。
1.BMIで肥満度を計算
体重(kg)÷ { 身長(m)÷ 身長(m)}= BMI
-BMIによる肥満の判定-
18.5未満 | やせている |
18.5~25未満 | 普通 |
25~30 | 肥満 |
30以上 | 重度肥満 |
※BMI(ボディ・マス・インデックス)は、体格指数を表すもの。(日本肥満学会による判定基準より)
2.標準体重を計算
身長(m)× 身長(m) × 22 = 標準体重(kg)
※22をかけるのは、統計上、BMIが22のときが病気になりにくく理想的な体重とされているからです。
3.適正摂取エネルギー量を計算
標準体重(kg)× 身体活動量(kcal/kg)= 適正摂取エネルギー量(kcal)
-身体活動量-
低い 25~30kcal | 軽い労作 歩行は1日1時間程度。 デスクワークなど軽作業が多い職業 |
ふつう 30~35kcal | 普通の労作 歩行は1日2時間程度。 立ち仕事が多い職業 |
高い 35kcal | 重い労作 1日に1時間は力仕事に従事する職業 |
※身体活動量は、体重1kgあたりに必要なエネルギーです。
身体活動量日常生活の活動レベルによって異なります。自分に当てはまる数値を選びますが、肥満の人は低いほうの値をとりましょう。
適正摂取エネルギー量の計算例
上記の計算式に当てはめて実際に計算してみましょう。
例)
身長170cm、体重78kg、デスクワーク中心のサラリーマン場合
- BMIで肥満度を計算
78(kg)÷ { 1.7(m)÷ 1.7(m)}≒ 27BMIによる肥満の判定 → 肥満 - 標準体重を計算
1.7(m)× 1.7(m)× 22 ≒ 64kg - 適正摂取エネルギー量を計算
デスクワーク → 身体活動量 → 低い
BMI → 肥満 → (身体活動量25~30kcalの低いほうの値をとって)25kcal
64kg × 25kcal = 1600kcal
適正摂取エネルギー量:1600キロカロリー
※ちなみに、BMIが肥満でない場合は身体活動量25~30kcalの高いほうの値をとって、
64kg × 30kcal = 1920kcalになります。
このようにして実際に自分に必要な1日のエネルギー量を計算してみてください。
計算結果と医師から指示された数字が違っているかもしれんせん。
それは、「肥満を解消する必要がある」「高齢である」など、何か別の理由があって異なることがあります。
その場合は、医師の指導に従ってください。
一口メモ:太っていなければ食事療法はしなくてもいい?糖尿病の人には、肥満やその傾向が見られる人が多いため、食事療法で体重を落とすことがクローズアップされます。
しかし、食事療法の目的は減量だけでなく、栄養バランスの偏りやまとめ食い、早食いといった食習慣を改善するという目的もあります。
標準体重の人や痩せ気味の人にとっても、食事療法は大事です。
まとめ
糖尿病と診断されたら、食生活の見直しが重要です。
まずは、自分にあった適正な摂取エネルギーを計算しましょう。
そして計算で出た適正摂取エネルギーの食事をとり、その中で十分な栄養をバランスよく食べることが大切です。