糖尿病ってどんな病気?代表的な初期症状・合併症の症状とは?

糖尿病

糖尿病とは、すい臓から出るインスリンの働きが低下し、血液中の糖分(ブドウ糖)が異常に高い状態が続く病気です。

この高血糖の状態が続くと、全身に様々な症状を引き起こします。

目次

血糖値コントロールのしくみ

食べ物に含まれる糖質。

食事から摂った糖質は、ブドウ糖など最小の単位にまで分解され、私たちはそれをエネルギー源として利用します。

この時必要なのがインスリン。

血液中のブドウ糖を効率よく利用するためのホルモンです。

  1. 糖質は、腸でブドウ糖に分解されたあと、血液中に取り込まれます。
  2. 血液中にブドウ糖が増えると、すい臓からインスリンが分泌されます。
  3. インスリンはブドウ糖をエネルギー源として利用できるように全身の細胞に起こります。そして、過剰なブドウ糖は肝臓や筋肉にグリコーゲンとして、脂肪組織に中性脂肪として蓄えられ、必要に応じて使われます。

このように、食事によって増える血液中のブドウ糖の量を、インスリンによって高くなり過ぎないように調節されています。

糖尿病とは

通常、インスリンの働きによって血糖値が高くならないように調節されています。

しかし、このインスリンが体内で分泌されなかったり、分泌されても働きが低下してしまったりしてしまうと、糖(ブドウ糖)はいつまでも血液中に留まることとなり、結果、血液中の糖の量(血糖値)が高い状態になります。

この状態が続くと糖尿病になります。

初期症状

厄介なことに初期の段階ではほとんど自覚症状がありません

自覚症状がないため、治療が遅れたり、放置されたりしていることが多く、気づかないうちに病状が進行していることが多いです。

そのため症状が出てきた時には、かなり悪化していることも。

症状が進行すると

病状が進行すると現われてくるものに、「高血糖による症状」と「合併症による症状」があります。

※下記の症状についてですが、糖尿病になるとすべてが現われるものではありません。

高血糖によるもの

血糖値が高いということは、食べたものがエネルギー源として使われにくい状態です。

-主な症状-

以下のような症状はありませんか?チェックしてみましょう。

□ のどが異常に渇く。

□ 尿の回数や量が多い。

□ 食欲が異常に強く、いくら食べてもお腹がすく。

□ たくさん食べているのに痩せる。

□ 甘いものが急に欲しくなる。

□ 強い疲労感や倦怠感がある。

血糖値が高いとインスリンの働きや分泌が低下し、食事からとった糖質をエネルギーに変えることができないため、脂肪や筋肉のタンパク質を分解して足りないエネルギーを補うようになります。

そのため、痩せてきたり、食欲が増したりしてきます。

そして、エネルギーに変えることができないため、体を休めても疲れがとれず、常に疲労感や倦怠感があり、何もしたくない状態に。

また、血糖が腎臓から排泄されるときに水分が多量に必要になるため尿が多くなります。

中には、尿に泡が立ったり、甘いにおいがすることも。

そして尿が多いということは、体内の水分が排出されてしまうことであり、のどが異常に乾くようになります。

合併症によるもの

合併症の種類が多いため、その症状は多岐にわたります。

-主な症状-

以下のような症状はありませんか?チェックしてみましょう。

□ ものが二重三重に見える。

□ 視力が低下する。

□ めまいや立ちくらみをする。

□ 虫歯や歯周病になりやすくなる。

□ おできや皮膚炎ができやすくなる。

□ 皮膚がかゆい。

□ 歩行中歩けなくなるほど足が痛む(休んでいると治る)。

□ 手や足が冷える。

□ 手先や足先がしびれる。

□ 足がむくむ。

□ こむら返りを起こしやすくなる。

□ 足の傷が化膿しやすくなる。

□ 便秘や下痢を起こしやすくなる。

高血糖の状態が続くと、様々な合併症が起きてきます。

糖尿病が進行すると、糖尿病の進行よりも先に合併症が起きることがあります

中には、合併症が起きて初めて糖尿病であることが分かる人もいます。

主なタイプとは?

糖尿病には様々なタイプがあります。

代表的なタイプが、1型糖尿病と2型糖尿病です。

1型と2型の違い

 1型2型
発症年齢若年(20歳以下に多い)。
まれに高齢者の発症も。
中高年(40歳以降に多い)。
最近は若年層にも増えている。
 体型 痩せ型に多い。痩せ型もあるが、比率的に肥満型に多い。
 発症の原因すい臓のβ細胞が自己免疫反応により破壊されることによって発症する。遺伝的資質、肥満や運動不足、ストレスなどの環境要因が加わることによって発症する。
 症状の現われ方突然、発症。
糖尿病特有の症状がすぐに現われ、急激に進行する。
自覚症状が現われにくく、いつ発症したか特定が難しい。
病状はゆっくりと進行する。
 治療方法インスリン注射食事療法と運動療法が基本。
病状によって、飲み薬やインスリン注射を併用。
 比率患者の3~5%患者の90%以上

「糖尿病は治らない」ってホント?

1型糖尿病は、2型と違い、食べ過ぎや肥満などが原因で起こる病気ではないため、インスリン療法が必要です。

一方、2型糖尿病ですが、遺伝的な要因だけでなく、肥満や過食、運動不足などの生活習慣により、インスリンの働きが低下して発症します。

そのため、適切な治療、食生活の見直し、運動習慣などにより改善する可能性があります。

糖の摂り過ぎなどで常に血糖値が高いと、体内ではインスリンを出し続けなければなりません。すると、すい臓は疲れ、機能が悪くなり、またインスリン自体の働きも低下してしまいます。

こうして失われた機能は元のように回復しないことが多いため、「糖尿病は一生治らない病気」といわれています。

しかし血糖コントロールが良好である状態が続いている限りは、普通の人と変わらない生活を送ることができます。

その努力は一生必要で、それができないと病気を進行させ、合併症を招いてしまいます。

糖尿病の治療は、

高血糖状態を改善すること

改善された状態を維持し続けること

です。

適切に治療することで進行を止め、QOL(生活の質)を保つことはできます。

まとめ

糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が慢性的に高くなる病気です。

初期のころは血糖値が高いというだけで体に損傷がないため自覚症状を感じることはありません。

口やのどが渇く、トイレが近い、体がだるく疲れやすい、尿から甘いにおいを感じるなど、自覚症状が感じられるようになると、少なからず糖尿病が進行していることが考えられます。

「静かに進行し、気づいたときには」という人が多いのが、この病気の特徴です。

そして怖いのが、合併症。

糖尿病は治療せず放置すると、様々な合併症を引き起こし、失明や足の切断、腎臓透析など、著しくQOLを低下させ、生命にも関わる危険な状態になります。

予防のため、そして病気が進行しないために、定期的に検診を受け、しっかり治療することが大切です。