薬物療法

薬

2型糖尿病と診断されると、原則として、食事療法と運動療法が行われます。

通常、2~3ヶ月、食事療法と運動療法だけを確実に行い、その結果、なお、空腹時血糖値が130~140mg/dL以上あったり、グリコヘモグロビン値が7.0%以上あるなど、血糖コントロールの改善が思わしくない場合に薬が使用されることになります。

ただし、空腹時血糖値が200mg/dL以上あるような高血糖であったり、自覚症状が強かったりするなど、状態が良くない場合は当初から薬物療法が行われます。

-血糖値が高くなる理由-

・インスリン分泌量の減少。

・インスリン分泌量は問題ないが、それに見あう作用がない(インスリン抵抗性が高い)。

・インスリン分泌のタイミングが遅れる。

目次

経口血糖降下薬の種類

薬経口血糖降下薬は、すい臓のインスリン分泌能力を高めたり、体のインスリン感受性を改善させたりすることによって、異常に高くなっている血糖値を下げるための飲み薬です。

そのため、すい臓のインスリン分泌能力が一定程度以上ある人が適用対象=2型糖尿病の人になります。

経口血糖降下薬には、様々な種類があります。

インスリン抵抗性改善系

ビグアナイド薬

肝臓で新しく糖が作られるのを抑えたり、腸管からのブドウ糖の吸収を抑える。

チアゾリジン薬

筋肉や脂肪でブドウ糖が使われやすくする。

インスリン分泌促進系

DPP-4阻害薬

肝臓のβ細胞に働き、必要に応じてインスリンの分泌を促し、グルカゴン(血糖値を上昇させる働きがあるホルモン)分泌を抑える。

スルホニル尿素(SU)薬

すい臓のβ細胞に働き、インスリンの分泌を促す。

速攻型インスリン分泌促進薬

すい臓のβ細胞に働いて、よりすみやかなインスリン分泌の促進、食後高血糖の改善。

食後高血糖改善系

速攻型インスリン分泌促進薬

すい臓のβ細胞に働いて、よりすみやかなインスリン分泌の促進、食後高血糖の改善。

α-グルコシダーゼ阻害薬

腸管に働き、糖をブドウ糖に変える消化酵素α-グルコシダーゼの働きを抑え、食事でとった糖の吸収を遅らせる。

尿糖排出促進系

SGLT2阻害薬

腎臓で作られる尿の原液から糖が体内に再吸収されるのを阻害し、体外への排出を促進する。

最初は少量からはじめ、状態に合わせて徐々に量を増やしていくのが一般的です。

基本的には、食事や運動などの生活習慣改善と1種類の薬剤が処方されますが、効果が見られないときは2種類以上の薬剤を併用することがあります。

その他の薬

インシュリン飲み薬以外に、インスリンの分泌を促し、すい臓の疲弊を防ぐのに役立つGLP-1受容体作動薬という注射薬もあります。

また、インスリンの分泌が不十分なために高血糖の状態が続く場合には、インスリンを注射で外から補う「インスリン療法」が行われます。

服用するときの注意

注意薬を飲むうえで特に注意しておきたいポイントです。

薬は主治医の指示に従い、規則正しく飲む。

自己判断で薬の量を増減しない。どうしても増減したい時は、必ず主治医に相談すること。

飲み忘れがないようにする。
※もしもの時に備え、飲み忘れた場合の対処法などについて主治医にしっかり聞いておきましょう

病気で体調が悪い時は、薬をどのように服用すればいいか主治医に相談する。

自分が飲んでいる薬の名前や服用量は覚えておく。

薬物療法は、糖尿病と診断された人の約7割の人が行っています。

このうち、副作用に悩まされた経験がある人は約17%で、その多くが低血糖です。

そうした副作用を起こさないためにも、主治医の指示に従い、決められた種類と量を、定められたタイミングで飲むことを守りましょう。

また薬物治療中の人の中で、「薬でコントロールしているから何を食べても大丈夫」など、誤解している人がいます。薬物治療中でも、食事療法や運動療法などの生活の改善を続けるのが治療の基本です。

同じタイプの薬を長期にわたって服用していると効果が低くなっていくことがあります。食事療法や運動療法が適切に行われていなかった場合が多いですが、そのような時は、薬を変更したりインスリン注射に移行したりすることになります。

薬は糖尿病そのものを完治するものではありません。

血糖コントロールがうまくいくと、薬を減らしたり中止したりすることがあります。しかし、糖尿病という病気そのものは、薬を使用するしないにかかわらず、一生継続しているものなので、食事療法と運動療法はしっかり継続していくことが重要です。

薬物療法を始めたら体重変化に注意!
例えば、1日80gの尿糖が出ていた人が、薬物治療を始め、10gまで改善したとします。

すると体内には、80g-10g=70gのブドウ糖が保持されることになります。これは280kcalに相当し、ご飯なら茶碗1杯分の分量です。

薬を飲む前と食事量は変わらなくても、結果、増えたのと同じことになり、薬を一定期間使用していると、体重が増えてくるとことがあります。

そうなると、インスリン抵抗性が大きくなり、血糖コントロールが悪化します。

薬物療法を始められると、体重の変化に十分注意しましょう。

まとめ

2型糖尿病の人で、食事療法や運動療法を2~3ヶ月続けても目標の血糖コントロールが達成できない場合には、薬物療法が行われます。

飲み薬は、効く場所や効き方が違う7種類のタイプがあり、患者さんの性別や年齢、生活、病気の症状に合わせて処方されます。

糖尿病治療の目標は、何よりも血糖値が高い状態をできるだけなくし、糖尿病の進行を抑え、合併症を予防することにあります。

ただし、血糖値は下げればよいというものではなく、コントロールこそ重要であるというのが現在の考え方です。下げすぎて、低血糖で意識不明などの危険な状態になることもあるからです。

血糖コントロールがうまくいくように処方されているものなので、医師の指示従い、飲み忘れなどがないようにしましょう。