1型糖尿病は、すい臓にあるインスリンを分泌するβ細胞が壊れ、インスリンの分泌が”ゼロ”に近い状態になる病気です。
小児に発症する場合が多いですが、大人になってから発症する人もいます。
目次
遺伝的体質に感染症がきっかけになる?
人間が細菌やウイルスなどに感染しても、やがて元気になるのは、免疫の機能が備わっているからです。
しかし、自分を守るはずの免疫が自分の体の組織を異物と捉え、攻撃することがあります。このような病気を「自己免疫疾患」と呼びますが、1型糖尿病はその一つです。
なぜ守るはずの免疫が自分の体の組織を攻撃するようなことが起こるのか明らかになっていません。
しかし、同じ家族内に1型糖尿病の人が複数いる場合が多いことから、遺伝的体質があることが考えられます。
最も関与が高いといわれているのが、白血球の型であるHLAに関する遺伝子で、1型糖尿病の約40%に関与していると考えられています。特にHLAのDR4とDR9を持っている人が少なくありません。
ただし、1型糖尿病の発症率は10万人に対し2~3人と極めて低い確率です。
そのことから、1型糖尿病発症に関与する遺伝子は1つだけでなく、また他の原因があることが考えられます。
その引き金として最も疑いが強いのがウイルス感染。
候補として挙げられているのが、
- コクサッキーウイルス
- アデノウイルス
- 風疹ウイルス
などです。
この中で、コクサッキーB4ウイルスだけは引き金になることがすでに証明されています。
それ以外についてはまだ確認されていませんが、これらのウイルスが流行した地域で、その後、1型糖尿病が高率で発症していることから、引き金になると考えられています。
治療法
1型糖尿病は、必要な量のインスリンを注射で補うインスリン療法です。
インスリン製剤には、作用時間の違いから、
- 超速攻型
- 速攻型
- 混合型
- 中間型
- 持効型インスリン
といった種類があります。
作用時間が長く続く中間型や持効型のインスリンを基礎インスリンとして寝る前などに注射し、作用時間が短い超速攻型、速攻型を食事の前に追加インスリンとして注射する1日4回打ちの強化インスリン療法を基本に、年齢や生活スタイル、血糖コントロールの状態などにより、薬の種類や量を決めます。
最近は、インスリンポンプ療法(インスリン持続皮下注入療法(CSII))という、小型の携帯用インスリン注入装置を使い、超速攻型インスリンを皮下から持続的に注入する方法も普及してきています。
血糖コントロールが大切!
2型糖尿病と違い、食べ過ぎや肥満などが原因で起こる病気ではありません。
しかし、1型糖尿病でも肥満になると、インスリンの効きが悪くなり、血糖コントロールが悪くなることがわかっています。
健康な人と同じ食事で大丈夫ですが、食べ過ぎに気をつけ、栄養バランスのとれた食事や運動を心がけましょう。
また、高血糖や低血糖にも注意しなければなりません。
そのためには、血糖自己測定を行い、薬の量の加減を自分でできるようにすることが必要です。
まとめ
1型糖尿病は、インスリンの分泌が”ゼロ”に近い状態のため、インスリン療法が欠かせません。
小児の発症が多いですが、大人になってから発症する人もいます。
一生付き合っていかなければいけない病気ですが、インスリン療法などをしっかりと行い、きちんと血糖コントロールができれば、健康な人と変わらず、スポーツや就職、結婚、妊娠・出産なども大丈夫です。