とろろごはん、とろろそば・・・
おいしいですよね。
大好きな方、多いのではないでしょうか?
自然薯の特徴である粘りには、血糖値やコレステロールの上昇を抑える効果があり、生活習慣病の予防効果が期待できます。
消化もよく、栄養価も非常に高く、滋養になる!活用したい食材「自然薯」について紹介します。
目次
自然薯とは?
自然薯は、ヤマノイモ科のツル性植物。
自然生(じねんじょう)とも呼ばれる、日本原産の芋です。
国内に広く自生し、60cm~1mの長さになります。
現在は食用や薬用として広く栽培が行われています。
ビタミンB群やビタミンC、ミネラル、アミノ酸、食物繊維などがバランスよく含まれており、その他にも有効な成分が多く、古くから滋養強壮、消炎、食欲増進、疲労回復、免疫力向上などの効果があるとされてきました。
旬は、晩夏~秋にかけて。
自然薯の中は白くてやわらかく、粘り気があり、とろろ芋として特に人気です。
また芋の部分だけでなく、秋になるとツルの部分につく実「むかご」も食べられます。
ネバネバが糖対策に有効!
自然薯といえば、強い粘り気が特徴です。
この自然薯特有のネバネバは、「ムチン」によるもの。このネバネバが糖質や腸壁を包み込んでくれるおかげで、体内への吸収が抑えられ、またゆるやかになり、血糖値の上昇を抑えてくれます。
また自然薯には長芋に比べ、約2倍の食物繊維が含まれています。
ムチン
ムチンは、胃粘膜の保護し、消化を促進します。特に胃炎や胃潰瘍の予防に役立つといわれています。
新陳代謝や細胞の増進を促進する作用があり、血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを下げるなどの作用もあります。
主な栄養成分
-主な栄養成分-(100gあたり)
エネルギー | 121kcal |
ビタミンB1 | 0.11mg |
ビタミンB6 | 0.18mg |
葉酸 | 29μg |
パントテン酸 | 0.67g |
カリウム | 550mg |
食物繊維 | 2.0g |
※糖質:24.7g
アミラーゼ(ジアスターゼ)
でんぷん分解酵素であるアミラーゼ。
でんぷん(糖質)の消化を促進し、吸収率を高めてくれる成分です。
カリウム
カリウムはナトリウムとともに細胞の浸透圧のバランスを保つ成分です。
余分なナトリウムの排出を促して血圧を下げたり、腎臓からの老廃物の排出を促す作用もあります。
特に筋肉細胞に多く、筋肉の動きをよくする働きを持つミネラルです。
ディオスゲニン
近年、注目を集めている自然薯に含まれている「ディオスゲニン」。
若さの維持やホルモンバランスに関係している「DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」を増やす役割があることがわかってきました。
※DHEAは神経ホルモンの一種で、脳内の神経細胞の情報伝達に関与し、神経伝達物質ドーパミンを適切な量に戻したり、ホルモンの分泌を促進させる効果があるとされています。
主な健康効果
血糖値やコレステロールの上昇抑制、高血圧予防
ムチンなどのネバネバ成分が糖質や脂質を包み込み、血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを下げたりする作用があります。
またカリウムが余分なナトリウムを排出し、血圧を下げる効果も。
全般的な生活習慣病の予防が期待できます。
胃粘膜の保護、食欲増進
自然薯の特徴であるネバネバが胃粘膜の保護し、でんぷん消化酵素アミラーゼ(ジアスターゼ)の働きのおかげで、消化が促進され、食欲の増進につながります。
自然薯が生で食べられるのはアミラーゼ(ジアスターゼ)のおかげです。
疲労回復、滋養強壮
自然薯に含まれるビタミンB1に疲労回復に効果があります。
エネルギーがスムーズに作られることで、疲労回復やスタミナ増強に役立ちます。
また、昔から「山のうなぎ」ともいわれてきた自然薯。
アルギニンと呼ばれる酵素がたくさん含まれており、滋養強壮や免疫力を高め、風邪予防などにも優れた効果があるとされています。
アレルギーに注意!
厚生労働省により、特定原材料に準ずるものとして「山芋」が指定されています。
自然薯はヤマノイモ科なので、山芋アレルギーのある方はお控えください。
特定原材料の表示義務はありませんが、食品アレルギーのある方は十分に注意が必要な食材です。
選び方、保存法は?
自然薯の選び方、保存方法を紹介します。
選び方
太すぎず、表皮に傷がないもの
自然薯はあまり太くなり過ぎたものは大味であるといわれています。
表皮に傷がついておらず、適度な太さのものを選びましょう。
自然薯は細長く伸びますが、中にはねじれているものなどがあります。しかし栄養性分や風味はなにも変わりません。とろろにするならねじれていても問題ないと思います。市場価値としては低くなるのでお安く手に入れられお得です。
ひげ根が乾燥していないもの
なるべくひげ根が乾燥していないもの。
切り口が真っ白なものを選びましょう。
保存法
自然薯は低温下では休眠状態のまま保存しておくことができます。
そのため、乾燥しないように、使いかけのものは切り口にラップを貼り付けるように包み、冷蔵庫の野菜室へ。
また、すりおろして冷凍保蔵も可能です。小分けにしておくと便利です。解凍後は粘りが弱くなっていることがありますが、その場合すり鉢ですり混ぜると粘りが戻ります。
手がかゆくなるのはなぜ?
自然薯をおろすと手がかゆくなることはありませんか?
これは山芋アレルギーではなく、自然薯に含まれるシュウ酸カルシウムという物質の結晶が砕けて皮膚に刺さり刺激するためです。
シュウ酸カルシウムは酢にとても弱いので、かゆくなった場合は、レモン汁や、食酢を薄めたもので軽く洗い流すとかゆみが治まります。
※酢につけてもひどいかゆみがある場合は、アレルギーなどが疑われます。病院で診てもらってください。
まとめ
自然薯は、日本原産の山菜。縄文時代から日本人の貴重な栄養源とされてきました。
生のまま千切りにしてそのまま食べるのもおいしいですが、すりおろして「とろろ」として食べるのが人気です。
そしてこの自然薯の特徴である粘りに、食後高血糖、血糖値スパイクを抑える働きがあります。
ネバネバが糖質や脂質を包み込み、体内の吸収を抑えたり、ゆるやかにしたりすることで、血糖値の急上昇を抑えてくれます。
栄養価が非常に高く、消化もいいので、食事に摂り入れていきたい食材です。