糖尿病でも旅行や出張に行くことはもちろんできます。
ただ旅行中は、食事や睡眠などが不規則になりやすいため注意が必要です。
旅行先でのスケジュールに合った薬の量を準備し、緊急時の対策などをしっかり整えておくことが大切です。
目次
必需品&ポイントは?
旅行常備アイテム
- 経口血糖降下薬、インスリン・注射器・殺菌グッズなど
- 血糖自己測定器、尿糖検査試薬
- 患者カード
- 処方箋(必要に応じて)
- ブドウ糖やアメなど、低血糖用の食べ物
海外に行く場合、英文カードを用意しましょう。
また、旅行や主張先で具合が悪くなった時を考え、現地の日本大使館の連絡先をメモしておくことも忘れずに。現地の病院を紹介してくれるなどの支援が受けられます。
インスリン製剤は、飛行機に乗るときトランクに入れて預けると、貨物室で凍結して使えなくなってしまう恐れがあります。手荷物として機内持ち込みにしてください。
その際、注射器などは事前申請が必要なこともあるので、航空会社に確認しましょう。
機内では、静脈血栓梗塞症(エコノミークラス症候群)に気をつけ、水分補給と定期的に体を動かすことが大切です。
時差による体内リズムの乱れに注意!
飛行時間が5時間以上のときは、時差への対策が必要です。
私たちの体内リズムを支配する「体内時計」は、「睡眠系」と「体温系」の2種類あります。
どちらも24.7時間周期ですが、「睡眠系の体内時計」は外部の刺激に反応しやすく、ジェット機で日付変更線を超えて昼夜が逆転しても割合早く新しい環境に慣れます。
しかし、「体温系の体内時計」は環境に慣れにくく、その2つの体内時計のずれた状態が「時差ぼけ」を生じさせると考えられています。
少しずつ新しい環境に適応していきますが、適応するには、時差1時間につき1日かかるといわれています。
そのため、2泊程度の短い海外旅行などであれば、渡航地でも日本時間を基準に生活したほうが、帰国してからスムーズに進みやすいです。
それ以上の場合は、なるべく早く渡航地の時間帯に適応できるようにしましょう。
対策の一つとしては、光にはメラトニンの分泌を抑えて体内時計をリセットする作用があるので、早起きをして、朝の光を浴びるのがいいです。
ちなみに時差の影響は、飛行機の飛ぶ方向によって異なります。
米国に行く東回りは、日付変更線を通過するので一日が長くなるように感じますが、太陽の進行と逆になるので、実際には一日が短くなります。これは自然の時計に逆行するため、体内リズムが乱れやすいです。
一方、日本からヨーロッパ、または米国から日本へ戻る西回りは、太陽の進行と同じ方向で、日中の時間も長くなります。体内時計はもともと24時間より長いので、一日が長くなる方が新たな環境に適応しやすいです。
食事について
糖尿病の患者さんにとって旅行で問題のひとつになるのが【食事】です。
高エネルギーになることが考えられます。
欧米の食事は、和食と比べて脂肪や動物性タンパク質が多く、エネルギーも多いです。上手に残すなど、食べ方を工夫しましょう。
機内食については、多くの航空会社で糖尿病食が用意されています。
ただし、事前の予約が必要なので旅行を申し込む際に窓口で相談しましょう。
また、旅行中はアルコール量も増えがちになるので、飲酒習慣がある人は気をつけてください。
薬物療法をしている場合、注意ポイントは?
インスリン注射をしている人は、時差の関係で食事のリズムが変わるため、目的地によって注射する量を調整する必要があります。
基本的に、中間型や持続型についてはその調整が必要です。東回りは減量、西回りは増量する形となります。
主治医とよく相談し、インスリンの注射量とそのタイミング、食事のとり方に気をつけましょう。
海外に行かれる際は、経口薬の人もインスリン注射の人も、主治医とよく相談してください。
薬は多めに!
旅先、出張先では何が起こるかわかりません。
持参した薬の量が日数分ギリギリであると、思わぬ日程変更で足りなくなる恐れがあります。薬は多め、倍の量が理想的です。
インスリン注射をしている人は、薬のほか、針や殺菌グッズも多めに用意しましょう。
また、荷物の紛失などで”ない”ということがないよう、薬は何ヶ所かに分けて持ちましょう。
インスリンについては温度変化が薬効に影響を与えるので、温度(高温・低温)についても注意してください。
まとめ
旅行や出張で海外に行くことはもちろん大丈夫です。
しかし、遠方の場合、時差のため体内リズムが乱れるので対策が必要です。
Point
- 薬は多めに用意し、機内持ち込み!
- 食事のとり方、エネルギー量に注意!
- 体を動かす。
- 体内リズムを整える。
行く前に主治医とよく相談し、体調に気をつけて過ごしましょう。