自分の体にとって強すぎる運動は、単につらいというだけでなく、関節障害や狭心症、心筋梗塞などの重大な障害が発生する原因になります。
自分の身体能力以上の運動に取り組まない、頑張り過ぎないことが大切です。
とはいえ、特に身体に問題がないのにぶらぶら歩くだけでは気晴らし程度で、運動にはなりません。
大切なのは、強すぎず弱すぎず、自分の身体強度にあった運動をすることです。
目次
自分の体に合う強さをチェックする方法
運動の強さは、その運動をすることによってどれだけ酸素を必要とするかで判断します。
専門的に自転車エルゴメーターなどを使い運動負荷試験をし、調べる方法もありますが、糖尿病の運動療法においてはそれほど本格的に調べなければならないケースは多くありません。
一般的には、運動時の脈拍数をチェックすることで、適切な運動強度を確認します。
チェック方法1
1分間あたりの脈拍数を調べましょう。
- 運動直後、手首の内側に指を当てて15秒間の脈拍数を数えます。
- 15秒間数えた脈拍数を4倍にして10を足してください。
15秒間の脈拍数 × 4 + 10 = 1分間あたりの脈拍数
※10を足すのは、脈拍が運動を終えた直後からすぐに下がっていくため、それを補正するものです。また、運動後1分間の脈拍を調べるのに1分間続けて脈拍を数えるという単純な方法をしないのもそのためです。
-適切な運動強度の目安(1分間あたりの脈拍数)-
運動初心者 | 運動に慣れてきた人 | |
20代 | 約110 | 約125 |
30代 | 約110 | 約120 |
40代 | 約100 | 約115 |
50代 | 約100 | 約110 |
60代 | 約90 | 約100 |
上記の表を目安に、自分が行った運動の強さが適切であるかチェックしましょう。
適切なレベルになるまで、運動のやり方を変えたり、運動の種類を変えたりしてください。
運動をはじめたばかりなどの時は、運動の途中でチェックすることもおすすめです。
チェック方法2
チェック方法1とは別の方法で、運動強度の目安を知る方法もあります。
- まず、自分の運動強度の限界点を求めます
230 - 自分の年齢 = 自分の運動強度の限界点
- 自分の運動強度の限界点の50~60%が、適切な運動強度になります。
自分の運動強度の限界点 × 0.5~0.6 = 適切な運動強度
230-50=180
180×0.5~0.6=90~108適切な運動強度の脈拍数の目安は、90~108です。
※チェック方法1と少し誤差がありますが、無視できる程度です。
ウォーキングのすすめ
望ましい運動は、1日合計20分以上、毎日続けることです。
おすすめは、もっとも基本的な「ウォーキング」。
歩くのは心臓に負担をかけにくく、走るのに比べて、足首や膝、腰への負担も少なくなります。
といっても、のんびり散歩では効果がありません。
会話ができる、息が切れない程度の早歩きが基本です。
同じ時間歩いても、赤信号で交差点で止まってしまっては効果が落ちてしまうので、公園など止まらなくていいところや、止まっても足踏みを続けるなどの工夫をしましょう。
おすすめグッズ 毎日どのくらい歩いたか、どのくらいエネルギーを消費したかがわかる歩数計や活動量計を活用するのもおすすめです。
実際に数値で見ると、励みになります。
最近はより詳しい計測データを得られる機器もあります。
◆「ウェルサポート」ニプロ株式会社
「ウェルサポート」は、病院・医療施設で糖尿病患者等の運動による消費エネルギーを測定・管理する目的で開発された行動記録計です。
一口メモ:準備体操をしよう!
いきなり運動をはじめるのは危険です。
ケガや事故を防ぐために、関節や筋肉がスムーズに動くよう、しっかり準備体操を行いましょう。
また運動後も、運動によって溜まった筋肉疲労を回復するために、整理体操を行うことも忘れずに。
運動をはじめる前と後にしっかり行うことで、思わぬ怪我や事後の予防になります。
運動はスポーツでなくてもいい?
糖尿病治療に運動はいいですが、普段、体を動かしていなかった人がいきなり激しい運動をするのはかえって危険です。
体を動かしさえすればスポーツでなくても大丈夫。
掃除や子どもと遊ぶなどといったことでも運動療法になります。
体を動かしていなかった人は、まずは積極的に体を動かすことに努め、生活の中で無理なく身体活動量を増やしていくようにしましょう。
まとめ
良好な血糖コントロールのためには運動は欠かせません。
しかし、これまであまり体を動かしていなかった方が急に強い運動をするのは危険です。
またそうのような運動を毎日続けられるかというと、とても難しいです。
激しい運動は活性酸素を発生させ体によくないですし、心臓に負担がかかるので避けましょう。
まずは毎日の活動度合いを高め、体の状態に合わせ、軽い運動からだんだん強度を上げていくと、無理なく取り入れることができます。
運動でもっとも始めやすいのはウォーキングです。
ただ、体を動かしさえすればスポーツでなくてもよく、掃除や庭仕事、子どもと遊ぶといったことでも運動になります。
体力や健康状態は個人差が大きいので、自分に合った運動を継続して行うことが大切です。
とにかく体を動かすようにしましょう。