持続血糖モニター(CGM)という、血糖値を1日中続けて測定できる検査装置があります。これで測定すると、24時間の血糖値の変化がわかります。
この1日中の変化を「血糖値の日内変動」といいます。
目次
健康な人と糖尿病の人との違いとは?
健康な人と糖尿病の人との変動の違いを見てみたいと思います。
健康な人の場合
血糖値は、食事前は低く、食事とともに上昇し、食後1~2時間後をピークに徐々に低下します。上昇しても正常値内です。
そして、朝食、昼食、夕食など食事後にこれを繰り返し、基本的には空腹時血糖値の時のベースラインに戻ります。
初期の糖尿病の人の場合
初期の糖尿病の人によくみられる一例ですが、食前の血糖値はあまり高くないものの、食後高くなる状態。
そのため、健康診断で空腹時血糖値が正常と診断された人でも、食後の値が正常値を越えて高いことがあります。
進行した糖尿病の人の場合
食後の血糖値が下がりきらない状態のまま次の食事が始まり、血糖値がさらに高くなってしまう状態。さらにこれに間食が加わると、血糖コントロールが難しくなることに。
ベースラインも健康な人に比べ高い数値になっています。
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どんな時、高くなる?
血糖値は一日中変動しています。
その中でどんな時に高くなるのか、その主な原因です。
主な原因
食事
三度の食事はもちろん、間食や飲み物などで上昇します。
中でも血糖値を上げやすい食べ物は、甘いものや主食など糖質を多く含むものです。
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ホルモン
激しい運動をしたり、興奮したりすると、カテコラミンやグルカゴン、コルチゾール、成長ホルモンなどの影響で、肝臓からブドウ糖が放出され、一時的に上がることがあります。
また、起床前に活動開始に備えて、体を活発にするコルチゾールなどのホルモンが分泌され、上昇することもあります。
インスリンの働き
上がった血糖値は、すい臓からインスリンが分泌されて下がります。
インスリンには二つの働きがあります。
- 血管内の糖を筋肉や脂肪に取り込む。
- 肝臓に蓄えられた糖が、必要な時以外は放出されないように抑える。
健康な人は、食事などで血糖値が上がっても、インスリンが機能してすぐに下がり、最も高い時でも140mg/dLを超えることはほとんどありません。
しかし、糖尿病の人はインスリンが不足しているため、血糖値が下がりません。
そして高い状態が続くことで、血管や神経が傷害され、合併症を引き起こしやすくなります。
なぜ血糖値を下げるホルモンが1種類だけなの?
血糖調節に関わるホルモンには、「血糖を上げるホルモン」と「血糖値を下げるホルモン」があります。
血糖値を上げるホルモン:グルカゴンなど4種類
生命を維持していく上で、血糖値を上げるほうがより重要なため、すい臓から分泌されるグルカゴンをはじめ4種類のホルモンが分泌されます。
「インスリン拮抗ホルモン」と呼ばれています。
血糖値を下げるホルモン:インスリンのみ
血糖を下げるホルモンは、すい臓から分泌されるインスリンのみです。
1種類しかないのは、飢餓を生き延びてきた人類の長い歴史の中で、何種類も血糖を下げるしくみを持つ必要がなかったからであると考えられています。
インスリン拮抗ホルモンとインスリンのバランスによって、血糖値は一定の範囲内に保たれます。
まとめ
血糖値は、1日の間に高くなったり、低くなったり、変動を繰り返しています。
しかし、健康な人は正常値内で変動するのに対し、糖尿病の人は正常値を超え、さらに進行すと、ベースラインも高い数値になり、全体的に上昇した状態が続きます。
そのような状態が続くと、体中の様々な部分に傷害をもたらし、病気を招きます。
糖尿病の治療では、正常な人の血糖値変化に近づけるようにコントロールします。
血糖値が高くなりそうな時間帯に下げる自己管理を心がけることが大切です。