年齢とともに筋肉量は減り、筋肉は低下します。
しかし糖尿病があると、その進行は早くなってしまいます。
筋力が落ちると、活動が低下。活動が減ると体力も落ち、筋力もさらに落ち・・・、と悪循環に。
転倒、骨折の危険性が高まり、高齢者では要介護、寝たきりとなるリスクが高まります。
生活の質を落とすリスクが高まるサルコペニア。糖尿病との関連を詳しく見ていきたいと思います。
目次
サルコペニアとは?
サルコペニアとは、加齢などの原因で筋肉量が低下していく状態のことをいいます。
人間の筋肉は30歳頃から次第に減少していく傾向があり、加齢に伴って加速化していきます。
特に高齢者ではその加速度が大きく、さらに糖尿病があるとその進行がより早くなると考えられています。
□ 歩く速度が遅くなった。
□ 歩いていて他の人に追い越される。
□ 青信号で横断歩道を渡りきれない。
□ 何もないところでつまづく。
□ 片足で靴下が履けない。
□ 握力が落ちた。
□ 太ももが痩せた。
□ 2kgほどの買い物をすると、持ち帰るのがしんどい。
一口メモ:「フレイル」に注目!フレイルとは、健康な状態と要介護の状態の中間に当たります。
糖尿病の治療をきちんと行うことで、健康な状態に戻ることもできる状態です。
体力は低下してきているものの、元に戻すことが可能な「フレイル」。ここで食い止められるかがカギ!しっかり、食事や運動などを行いましょう。
糖尿病の人に多い症状
糖尿病による身体機能や認知機能の低下、低栄養や運動不足によってサルコペニアになりやすくなります。
- 筋肉量・筋力の低下
- 体重減少
- 転倒しやすい
- 認知機能の低下
- 閉じこもり
サルコペニアになると、さらに活動量や食欲の低下を招き、低栄養や体重減少につながり、さらに糖尿病、サルコペニアを進行させてしまいます。
太っていても安心できない!
サルコペニアは痩せている人に多いと思われがちですが、そうではありません。
太っていても筋肉量が落ちていることが多々あります。そのような状態を「サルコペニア肥満」といいます。
痩せた状態のサルコペニアに比べて、高血圧や糖尿病になるリスクが高く、肥満による運動・活動量が少ないことで、より要介護になる危険性が高まります。
運動や食事に注意が必要です。
予防するには?
予防・改善のための主な方法を紹介します。
血糖コントロール
サルコペニアになると、インスリンの効きが悪くなり、糖尿病の発症・進行のリスクが上昇します。
血糖値コントロールをしっかり行うことがまず大切です。
運動
サルコペニアを予防するには、運動・筋力アップ、特に脚の筋肉をつけることが大事です。
ウォーキング
おすすめは、ウォーキング。
今より1日20~30分、2000~3000歩多く歩くようにしましょう。
現在あまり歩いていない方は、まずは歩くこと。今よりも歩数量を増やすことから始めましょう。
筋力トレーニング
1.片足立ち
まっすぐに立ち、床につかない程度に片足を上げる。椅子やテーブルに片手を置いても可。
左右1分間ずつ 1日3回。
2.スクワット
両足を肩幅に広げて立ち、お尻を後ろに引くように膝を曲げてスクワット。
膝が脚の指先より前に行かないように曲げることがポイントです!
深呼吸をするペースで5~6回繰り返し 1日3回。
3.脚の曲げ伸ばし
椅子の背もたれに背をつけないで、浅めに背筋を伸ばして座り、ゆっくりと片方の膝をまっすぐ伸ばし1秒間止めて、またゆっくりと元に戻します。
脚を伸ばすときに息を吐き、もどす時に息を吸いましょう。
左右各15回 1日2セット。
一口メモ:ロイシンを摂ろう!最近の研究で、必須アミノ酸の一つロイシンに、筋肉の合成で非常に重要な働きがあることがわかってきました。
運動後1時間以内に摂るとよりいいとのことで、運動した後に摂るのがおすすめです。
食事
まず痩せないようにすることが大切です。
必要なエネルギー量をしっかり摂ること。
そして、筋肉量や筋力を維持するために、筋肉のもとになる肉や魚、卵、乳製品などのたんぱく質を積極的に摂りましょう。
糖尿病の治療に必要な「血糖コントロール」「食事対策」「適度な運動」などは、サルコペニアの予防・改善になります。
糖尿病の治療をしっかり行うことが大切です。
まとめ
加齢に加え、糖尿病があるとサルコペニアの進行が早く、要介護、寝たきりのリスクが高まります。
やせすぎに注意すること。
その一方で、肥満の方もサルコペニア肥満の可能性があります。
予防・改善のためには、まず血糖コントロールをしっかり行うことが大事!
そして、食事、運動がポイントになってきます。
高齢になっても、運動や日常生活で適度な負荷がかかると、筋肉量を維持しやすいことがわかっています。
ウォーキングや体力に応じた片足立ち、スクワットなど少しずつ生活に取り入れていきましょう。