お酒は、「百薬の長」ともいわれ、適量のアルコールは、
- 血管を広げ血圧を下げる。
- ストレス解消。
- 善玉コレステロールを増やす。
などの効果が期待できます。
しかし、酒量が増えると問題!
アルコール類はカロリーが高く、肥満を招きます。
また血糖値を上昇させ、大量のインスリンを消費するので、血糖値が下がりにくくなることもわかっています。
そして大量飲酒が常習化すると、血液がドロドロになり、肝臓を害する恐れもあります。
さらに、お酒といえば”つまみ”。
塩辛などの高塩分のものや、から揚げやポテトチップスなどの油っこいものが好まれやすく、つまみでの塩分やカロリーの過剰摂取が心配です。
このようなことから、糖尿病の人は、原則アルコールは禁止です。
仕事のつきあいなど、止めたくても止められない状況があることも多いですが、体のことを第一に考えましょう。
目次
糖尿病の人は原則禁止!
糖尿病の人はお酒は原則禁止です。
ただし、絶対何が何でも禁止ということもありません。
許可が出ることもあるケース
- 血糖コントロールがきわめて良好であること。
- 標準体重を維持していること。
- 薬物療法をしていないこと。
- 合併症がないこと。
上記の方の場合、許可が出ることもあります。
とはいえ、許可が出ても飲めるのはごく限られた量となります。
多くても1回に160kcalくらいというのが普通です。
[160kcal(2単位)の目安]
- ビール(淡色) コップ2杯(400ml)
- 日本酒 おちょうし1本弱(150ml)
- 焼酎(35度) コップ1/2弱(80ml)
- ウイスキー(43度) ダブル1杯(60ml)
- ワイン(白・赤) ワイングラス(中)2杯(200ml)
また、1週間に1日から2日休肝日を設けることも大切です。
そのため、飲みだすとセーブがきかなくなるという人には、許可は出ません。
糖質制限の点から見ると?
お酒を飲むことが許可された場合、どんなお酒を飲むかが重要です。
アルコール類には血糖値を上昇させる糖質量が多いもの、少ないものがあります。
そのため、お酒の選び方には注意が必要です。
糖質制限におススメのお酒
アルコールのうち、最も糖質が少ないのは蒸留酒と呼ばれるものです。
-主なおすすめのお酒-
- ウイスキー
- 焼酎
- ウォッカ
- ジン
- ブランデー
- ラム
100mlあたりに含まれる糖質量は、ウイスキーや焼酎、ウォッカ、ブランデーは0g、ジンやラムは0.1gと限りなくゼロに近いです。
ただし、蒸留酒はアルコール度数が高いので飲み過ぎに気をつけましょう。ストレートやロックではなく、水割りや糖質が含まれていない炭酸水で割って飲むのがいいと思います。
またカロリーも高いのでご注意ください。
その他比較的低めなのがワインです。
100mlあたりのワインに含まれる糖質量は、赤ワインが約1.5g、白ワインが約2g。
赤ワインか白ワインかといわれたら、赤ワインには抗酸化作用のあるポリフェノールが多く含まれいるので赤ワインの方がおすすめです。白ワインを飲みたいときは糖質控えめな辛口を。
糖質制限にNGのお酒
糖質を多く含む醸造酒や糖分を含む甘いお酒、カクテルは残念ながらNGです。
-主なNGのお酒-
- ビール
- 発泡酒
- 日本酒
- 紹興酒
- 甘酒
- 梅酒
- カクテル
ビールに含まれる糖質量は100mlあたり約3gですが、350ml入りの缶ビールに換算すると約11g。
日本酒は100mlあたり約5g。甘酒約18g、梅酒約21gの糖質量があります。
「糖質ゼロ」表示はOK?「糖類ゼロ」表示に注意!
「糖質ゼロ」表示は糖質の含有量が0gというわけではありません。
「100ml(または100g)あたり糖質量0.5g未満」であれば表示することができます。
わずかだと思っても飲みすぎてしまっては糖質を摂ってしまうことになります。
それからポイントは「100ml(または100g)あたり」という点。
缶ビールだと1本350ml入っているので、1本に含まれる糖質量は0.5g以上になっていることが考えられます。
また「糖類ゼロ」表示ですが、糖類であるブドウ糖や果糖などの単糖類と、ショ糖や乳糖などの二糖類がゼロであるということ。糖類ではないオリゴ糖やデキストリンなどの多糖類や糖アルコール、人工甘味料は入っている可能性があります。
「糖類ゼロ」表示に注意しましょう。
「糖質ゼロ」商品の落とし穴?添加物が多い!?
糖質制限食の高まりとともに「糖質ゼロ」の商品が増えています。
しかし原材料をよく見てみると、ゼロにする項目が多い程、添加物の種類が多いんです。
商品名 | 原材料 | |
キリン淡麗グリーンラベル | 糖質70%OFF | 麦芽、ホップ、大麦、コーン、糖類 |
サントリー金麦 | 糖質75%OFF | 麦芽、ホップ、糖類、食物繊維、スピリッツ(小麦)、炭酸ガス含有 |
アサヒスタイルフリー | 糖質0 | 麦芽、ホップ、糖類、カラメル色素、酵母エキス、大豆たんぱく |
キリン淡麗プラチナダブル | 糖質0、プリン体0 | 麦芽、ホップ、大麦、糖類、カラメル色素、アルコール、香料、酸味料、乳化剤、甘味料(アセスルファムK) |
サッポロ極ZERO | 糖質0、プリン体0、人口甘味料0 | 麦芽、ホップ、大麦、糖類、苦味料、カラメル色素、スピリッツ、水溶性食物繊維、エンドウたんぱく抽出物、香料、塩化カルシウム、酸味料、安定剤(アルギン酸エステル) |
アサヒスタイルフリーパーフェクト | 糖質0、プリン体0、人口甘味料0、食物繊維入り | 麦芽エキス、ホップ、カラメル色素、アルコール、食物繊維、米乳酸発酵液、酸味料、香料、乳化剤、調味料(アミノ酸)、酸化防止剤(ビタミンC) |
糖質量はゼロでも、添加物が多いのはやはり気になります。
糖質量やカロリーだけでなく、原材料に何が使われているかもチェックしましょう。
アルコールより実は注意したい「つまみ」
お酒の糖質を減らしても、おつまみで食べてしまっては台無し。
糖質の少ないおつまみにおすすめの食べ物をを紹介します。
・お刺身
・焼肉(塩)
・焼き鳥(塩)
・ハム
・冷奴
・チーズ
・卵
・アーモンド
・あたりめ
・ビーフジャーキー
・サラダ(ブロッコリーやパプリカなどの食物繊維が多い野菜類)※1
・きのこ類
・海藻類
炭水化物はもちろん、衣の多い揚げ物や砂糖を多く使用したものはNGです。
※1 サラダにかけるドレッシングに注意しましょう。糖分、塩分が多いものがあります。おすすめはオリーブオイル。
お酒の席での付き合い方
仕事でお酒を飲む機会がある人も多いのではないでしょうか。
「糖尿病なので」と断って理解してもらえればいいのですが、難しい場合も・・・
そんな時、単発的なときは、
- 「風邪で薬を飲んでいるので、今日はちょっと遠慮させていただきます。」
- 「ダイエット中なので、少しだけいただきます。」
- 「この後、車の運転をする予定がありますので。」
など、状況に応じた断るフレーズを用意し、上手に辞退するようにしましょう。
同じ方々と頻繁にお酒の席に出席するような場合は、具体的な病名を言わなくても「病院の先生に止められている」旨を伝えられるのであれば伝えておくと安心です。
そうでない場合は、ケースバイケースなので難しいですが、お付き合いの関係性に合わせてお断りできる言葉を用意しておきましょう。その後の人間関係も良好に過ごせます。
仕事であるとその後の人間関係にいろいろとややこしくなることもあり、お酒の断り方、本当に難しいです。
それだけに事前にどのように断るか準備しておくと安心です。
日常生活での付き合い方
また、日常生活においてのお酒との賢い付き合い方として、
- その日飲む分だけを冷蔵庫で冷やす。
- 目に付くところにお酒を置いておかない。
- 買い置きをなるべくしない。
など、工夫しましょう。
血糖値をうまくコントロールし、適量を守って飲むことで、長く楽しむことができます。
まとめ
食生活の乱れ、肥満の原因、血糖コントロール妨害につながる飲酒。糖尿病患者さんの飲酒は原則禁止です。
特に、
- 血糖コントロールがうまくいっていない人
- 薬物療法をしている人
- 肥満の人
は厳禁です。
一部お酒を許可される人もいますが、血糖値の上昇を抑えるためには糖質が少ないものをおすすめします。
- ウイスキー
- 焼酎
- ウォッカ
- ジン
- ブランデー
- ラム
などの蒸留酒です。
糖質が多く含まれるビールや日本酒などの醸造酒は控えましょう。
また、糖質やカロリーを控えるために食事の量を抑えて、お酒を多く飲むのはよくありません。
お酒を飲まれる方は主治医とよく相談し、しっかり血糖コントロールをしながら楽しみましょう。