糖尿病の方が気をつけないといけない合併症の一つが歯周病です。
高血糖ということは病原菌の栄養が血液中に豊富にあるということでもあり、感染症にかかりやすい状態になっています。
口内に食べ物のカスが残っていると細菌が集まり、感染症にかかりやすい状態なので細菌はいっそう繁殖しやすく、歯周病になりやすくなります。さらになりやすいだけでなく、治りにくい!そして歯周病が重症化すると、血糖コントロールに影響が生じる・・・
まさに悪循環に陥っていしまいます。
日々の予防と、改善・治療が大切です。
目次
歯周病とは?
歯周病は、歯周病菌の感染によって起こる歯と歯のまわりの組織の病気です。
歯周病になると、歯茎(歯肉)に炎症が起こり、はれや出血を起こし、歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)が深くなって、やがて歯を支えている歯槽骨が破壊され、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
発症原因はいくつかありますが、その元凶となるのは、ほとんどの場合、歯垢(プラーク)です。
歯と歯肉の間、歯と歯の隙間に食べ物のカスが残ると細菌が集まってきます。歯垢とは、歯に付着した細菌が繁殖してできた塊です。これが長期間除去されないと歯石になります。
口は食べ物の通り道であり、細菌にとって栄養を得るのに最適な場所です。
まして血糖コントロールがよくないと、感染症にかかりやすい状態になっているので、口内の細菌はいっそう繁殖しやすくなっており、糖尿病の人はより歯周病になりやすく、治しにくくなります。
-デンタルケアのポイント-
ブラッシングの習慣に加えて、口の中のセルフチェックをしましょう。
□ 歯茎が腫れていないか。
□ 歯茎がやせてきていないか。
□ 歯の黒ずみはないか。
□ 口臭はないか。
□ 歯石はたまっていないか。
□ 舌苔はないか。
こまめに鏡などで口の中をチェックしましょう。
対策
歯周病によって歯を失わないようにするには、まず、適切な血糖コントロールで1日も早く糖尿病を改善することが重要です。
とともに、徹底的に歯磨きを行う習慣をつけることが何より大切です。
「毎日、朝や寝る前に必ず歯磨きしています。」など、歯磨きをきちんとしていると言われる人が多いと思います。しかし、現状としては不十分です。
歯磨きは、「1+3・3・3+1」。
「朝起きた時1回」、そして「3度の食事の後、3分以内に3分以上の時間をかけて」、さらに「就寝前にもう1回」が基本です。
そして、できるだけ丁寧に磨きましょう。
歯ブラシだけでは歯間の汚れが落ちにくいので、歯間ぶらしか糸ようじ(デンタルフロス)も使ってキレイに!
ここで注意しておきたいのが歯磨きの仕方。
強くこすりすぎるのはよくありません。歯肉や歯の表面を傷つけ、かえって歯肉炎や虫歯の原因になってしまうことがあります。
歯磨きグッズ
- 歯ブラシ
ブラシ部分が小さいほうが隅々まで磨きやすいです。 - 歯間ぶらし、糸ようじ(デンタルフロス)
歯間ぶらしや糸ようじ(デンタルフロス)は、使い勝手がよいものを選びましょう。 - マウスウォッシュ
磨く時間がないときは、液体はみがきか、マウスウォッシュで口をすすぎましょう。
徹底的に日々、歯のケアを行っていても、固まった歯石や一部の歯垢を除去することはできません。
特に歯の異常を感じなくても、半年か1年に1回は歯科を受診し、除去してもらいましょう。
歯医者にかかるときは
歯医者にかかる時は、必ず、糖尿病であることを医師に告げましょう。
歯科によっては、糖尿病であると告げると診療を断られるケースがあります。
これは、高血糖状態では、わずかな切開でもその部分が極めて治りにくかったり、そこから病原菌が侵入し、思わぬ方向へいってしまう恐れがあったり、また通常ならなんでもない歯の治療が、血糖コントロールに悪影響を及ぼす心配があるからです。
歯の治療と糖尿病との関係は、軽いものではありません。
もし糖尿病ということで治療が断られる場合は、主治医に相談しましょう。
治療を断られると嫌な気持ちになると思います。
しかし、糖尿病であることを告げても、何も気にせず治療を始めたり、血糖コントロールの状態を確認しようともしなかったりする場合などは、逆に心配です。
しっかり対応してくれる病院は必ずあります。安心して治療を受けられるところを探しましょう。
まとめ
糖尿病の人は、歯周病が起こりやすく、重症化しやすいことが特徴です。
歯周病が重症化すると、血糖コントロールに影響が生じ、「血糖値が高くなる→歯周病がさらに悪化して治りにくくなる」という悪循環に陥る恐れがあります。
糖尿病と歯周病は互いに悪循環をもたらすといわれ、逆に歯周病を治療すると血糖コントロールがよくなることも報告されています。
しっかり治療、予防しましょう。