糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、作用不足から起こる病気です。
しかしその発症原因は複雑で、いくつかの種類があります。
目次
タイプとその違い
◆1型糖尿病:自己免疫が原因となるタイプ
私たちの体は、外部から侵入してくる異物に対し、無毒化したり、体外に排出したりして、体への害を防ぐ「免疫」をもっています。
ところが、自分の免疫が自分の体の組織や物質を異物として捉え、攻撃してしまうことがあります。
その反応がすい臓で起きてしまい、ランゲルハンス島β細胞を破壊して起きる糖尿病が、「1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)」です。
ウイルス感染がきっかけになることがありますが、細胞破壊の原因がわからない突発性ということもあります。
生活習慣や遺伝、加齢に関わらず、小児でも発症します。
◆2型糖尿病:生活習慣が原因となるタイプ
過食や肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣上の誘因が、糖尿病になりやすい遺伝的体質に作用して発症するタイプ。
「2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)」と呼ばれ、日本の糖尿病患者の90%以上がこのタイプです。
要因1:遺伝(糖尿病になりやすい体質)
2型糖尿病の約60%は、遺伝が関わっているといわれています。
遺伝的な素因で、例えば運動量が同じでも摂取エネルギーをうまく処理できる人と、処理できずに蓄積する人がいます。
遺伝だけで糖尿病になるというわけではありませんが、遺伝的な素因がある人が、食べ過ぎや肥満、運動不足などの生活習慣が加わることで、遺伝的素因がない人に比べ、発症する確率が高まります。
要因2:環境や生活
食べすぎや肥満、運動不足、ストレスなどの日常の生活習慣が深く関わっています。
要因3:社会的な背景
自動車や電車などの交通機関の発達や、産業構造の変化で農林漁業に従事する人が減り、工場も自動化され、昔に比べ運動量が大幅に減っています。
また、外食産業やコンビニなどの発達により、いつでも手軽に食べられ、カロリー、糖質の多い食品も増えています。
他にも、雇用形態や労働時間帯も変化し、例えば深夜営業。
働く人々の肉体的、精神的な負担が増え、糖尿病が増える原因になっています。
生活習慣を見直すことで予防したり、進行を遅らせたりすることができます。
◆その他に原因があるタイプ
何らかの病気が原因で起こる場合があります。
慢性膵炎などのすい臓病や肝臓病、感染症、甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などのホルモン異常を伴う病気など、何らかの病気が原因で起こる場合があり、「二次性糖尿病」と呼ばれています。
また、遺伝子異常が原因で起こる場合もあります。
◆妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、妊娠する前は正常だったのに、妊娠を契機にはじめて発見された、または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常の場合のことをいいます。
安全な出産のためには、すぐに治療を開始し、お母さんと胎児への影響を防ぐことが大切です。
妊娠糖尿病の場合、その多くは一時的なもので、出産後に正常に戻ります。
ただしこのタイプの方は、出産後に高血糖がなくなっても将来的に糖尿病になる可能性があります。出産後も定期的に検査を受けることが大切です。
ちなみに、妊娠前から糖尿病だった人が妊娠した場合は、「糖尿病合併妊娠」といいます。
なりやすい人とは?
日本など、東アジアの民族は、欧米人に比べて、遺伝的にすい臓のインスリン分泌能力の限界が低いのだそうです。
農耕民族であった歴史が関係しているのではないかという説もありますが、はっきりした原因はわかっていません。
大体2分の1程度だといわれており、遺伝的体質に、糖尿病誘因の生活習慣が加わると発症しやすいといえます。
日本人に比べ、欧米人の方が肥満の人が多いとされていますが、体質的にインスリン分泌能力が高いので、日本人ほど2型糖尿病になる人は多くありません。
逆に、肥満が原因で動脈硬化などの病気になってしまう人が多いのだそうです。
ちなみに、1型糖尿病については、日本人より欧米の白人の人の発症割合が高いことがわかっています。
とはいえ、日本人も、戦中、終戦直後は極めて少ない病気でした。
変わったのは、食糧事情、交通事情、豊かな食生活、運動不足、様々なストレスなどが複雑に絡みあい、発症激増の原因になっています。
なりやすいタイプか度チェック
90~95%を占める2型は、糖尿病になりやすい遺伝子を持っている人に、生活習慣などの要因が加わって発症するタイプです。
◆遺伝的要因
上記の2型糖尿病のところに書きましたが、家族や親戚に糖尿病の人がいる場合は、体質を受け継いでいることが多いです。
また、近親者にいなくても、遺伝的な要因が絶対にないとはいえません。
日本人はそもそも体質的に糖尿病になりやすい民族です。
◆生活習慣
日々の生活習慣をチェックしてみましょう。
-チェック-
□ 家族や親戚に糖尿病の人がいる。
□ 肥満である。
□ ついつい食べ過ぎてしまう。
□ 運動不足である。
□ 心身にストレスがある。
□ 40歳以上である。
□ 妊娠中である。
□ 4000g以上の赤ちゃんを出産した経験がある。
該当項目の多い人ほど、糖尿病になりやすい生活習慣であるといえます。
まとめ
糖尿病は、4つのタイプに分かれますが、その多くは1型と2型に分けられます。
自己免疫が引き起こす1型に対し、日本人の9割以上を占める2型は生活習慣の影響によるといわれています。
「糖尿は一生治らない病気」といわれますが、治ることはなくても進行を食い止め、QOL(生活の質)を保つことはできます。
治療は日々の生活の中で続けていくことが重要!
続けやすい治療スタイルを見つけ、しっかりと続けましょう。