糖尿病かどうかがわかる検査

糖尿病は、他の病気で受診した時や進行した合併症の症状、健康診断や人間ドッグなどで気づくことが多いです。

初期のうちは自覚症状の少ない糖尿病を早期に発見するために、定期的な検査が必要です。

そして、健康診断で「疑いがある」とされると「再検査」が求められます。

すみやかに検査を受けましょう。

目次

病院での診察の流れ

「再検査」では、問診や尿検査、血液検査が行われます。

◆診察(問診)

あらかじめ問診表に記入してもらい、それをもとに医師が質問していきます。

糖尿病の問診では、次のようなことが質問されます。

遺伝的因子チェック

糖尿病は、1型でも2型でも遺伝が関係しています。

どのようなタイプの糖尿病か知るためにも、血縁関係のある家族に糖尿病の人がいるかどうかの質問があります。

  • 家族(父、母、兄、弟、姉、妹など)に糖尿病の人はいませんか?
  • 家族に肥満の人はいませんか? など

環境因子チェック

生活習慣による発症因子状況を確認するための質問があります。

  • 食生活や仕事の状況
  • お酒を飲みますか、飲む場合どの程度飲まれますか?
  • ストレス、睡眠不足、運動不足はありませんか?
  • 太ってきていませんか?、また過去に太っていませんでしたか? など

自覚症状チェック

現在、症状が出ていないか、出ているとしたらその症状はいつごろから、どんな症状かなどが聞かれます。

[自覚症状]

  • のどが渇きませんか?
  • 最近やせてきていませんか?
  • 疲れやすさ、だるさを感じることがありませんか?
  • めまいがするほどお腹が空きませんか?

[合併症]

  • トイレが近いことはありませんか?
  • 手や足がしびれませんか?
  • 目が見えにくいことはありませんか?
  • 顔や手足にむくみはありませんか? など

糖尿病発症に影響する病気や女性の場合は妊娠・出産経験チェック

過去に経験した病気について、その治療の経過と結果などの質問があります。

糖尿病は様々な病気を合併するので、治療を進める上で大切な質問です。

  • すい臓病、肝臓病、内分泌の病気になったり、胃を切除したことはありますか?
  • 妊娠したときに、尿糖陽性、妊娠糖尿病はありましたか?
  • 赤ちゃんは4,000g以上の巨大児や低体重児ではありませんでしたか? など

身体症状のチェック

  • 皮膚
    乾燥や変色、水疱症、カンジダなどの感染症の有無 など
  • 眼(眼科にて)
    視力、眼圧などを測る。白内障や緑内障、眼球の運動異常の有無の確認 など
  • 口腔(歯科にて)
    口腔内乾燥、虫歯、歯周病、歯牙欠損、口腔内感染症などの有無 など
  • 下肢
    足背動脈の脈、浮腫、壊疽、潰瘍などの有無 など
  • 神経系
    感覚障害、発汗異常、排尿障害などの有無 など

◆尿糖検査

尿糖検査とは、尿に試験紙を浸し、変化した色によって尿糖の有無を把握する検査です。

陰性(-)、擬陽性(±)、陽性(+)と判定されます。

尿中にブドウ糖が出てくるのは血糖値が160~180mg/dL以上です。

そのため、尿糖が出ないからといって高血糖でないとはいえませんが、尿糖などが出ていることがわかれば血糖値が高いことが推測されます。

尿糖検査はそれを調べる検査です。

◆血糖検査

血中のブドウ糖の量を測定する血液検査です。

  • 随時血糖検査
    空腹時血糖検査や経口ブドウ糖負荷試験では、食事や検査時間に制限がありますが、随時血糖検査は食後何時間経過しているかに関わらずいつでも行える検査です。
  • 空腹時血糖検査
    夕食を食べてから10時間以上経った状態での血糖値を調べます。食事の影響が最も少ない状態での検査です。
    この検査で、血糖値が126mg/dL以上なら「糖尿病型」と判定し、再検査を行って再び「糖尿病型」であれば「糖尿病」と診断されます。
  • 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
    空腹時の血糖値を調べた上でブドウ糖75gを飲み、その後の血糖値の推移を調べる検査です。通常は、1時間後と2時間後の血糖値を調べます。
    判定は、空腹時血糖値と食後2時間値を見て行います。
  • グリコヘモグロビン(HbA1c)検査
    過去1~2ヶ月の血糖の状態がわかる検査です。

検査の費用は、健康保険が適用されます。

検査にかかる時間は、1~3時間程度の場合が多いようです。

診断の流れ

糖尿病型の判断基準値は、

  1. 血糖値
    空腹時血糖値:126mg/dL以上
    75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値:200mg/dL以上
    随時血糖値:200mg/dL以上
  2. グリコヘモグロビン(HbA1c):6.5%以上

です。

血糖値とグリコヘモグロビン(HbA1c)を検査して、両方とも糖尿病の判定基準値に達していた場合は、糖尿病と診断されます。

どちらか一方だけが判定基準値を満たしていた場合は、後日改めて再検査をし、糖尿病かそうでないかの診断が行われます。

血液検査の結果からの評価

糖尿病を診断するための血液検査の結果は、「糖尿病型」「境界型」「正常型」の3タイプに分けられます。

◆糖尿病型

空腹時血糖値:126mg/dL以上
グリコヘモグロビン(HbA1c)値:6.5%以上

「糖尿病」と診断

治療開始

◆境界型

空腹時血糖値:110~125mg/dL
グリコヘモグロビン(HbA1c)値:6.0~6.4%

再検査

◆正常型

空腹時血糖値:109mg/dL以下
グリコヘモグロビン(HbA1c)値:5.6~5.9%

※正常型でも、空腹時血糖値が100~109mg/dLの場合は「正常型(高め)」として、生活習慣を見直す必要があります。

まとめ

血糖値は1日の中で上がったり下がったり大きく変動するため、糖尿病かどうかを診断をするのは容易ではありません。

たとえば、空腹時血糖値が正常でもグリコヘモグロビン(HbA1c)値が高めという人がいます。

初期の糖尿病では、食後の血糖値だけが高くなる場合が多いので、空腹時血糖値が低くても安心はできません。

糖尿病かどうかを診断する検査は何度も行われることがありますが、どれも必要なの検査です。きちんと受けましょう。