血糖値が異常に高くなると、意識障害が起こります。これを、「糖尿病性昏睡」といいます。
対応が遅れると命に危険が及ぶ大変危ない状態です。
目次
糖尿病ケトアシドーシスとは?
インスリンが不足するとエネルギーとして糖分を使えなくなってしまうため、代わって体はエネルギーを作るために肝臓で脂肪を分解します。その際、「ケトン体」という物質も一緒に作られてしまい、ケトン体が血液中に増加すると体は酸性に傾いてしまい危険な状態に陥ってしまいます。
ケトアシドーシスを起こすと、短時間でひどい脱水症状、腹痛、嘔吐、意識障害、昏睡などが現れます。
すぐに治療を始めなければ命に関わる場合があります。生命の危険を伴う合併症です。
主な原因
「糖尿病性昏睡」には、原因によっていくつかのタイプがあります。
ケトアシドーシス昏睡
インスリンが不足すると、脂肪のエネルギー転換に支障が生じ、ケトン体という物質が生まれます。このケトン体が原因で血液が酸性に傾いた状態が「ケトアシドーシス」です。
ケトアシドーシス状態が強くなると、口の渇き、多飲、多尿、倦怠感、体重減少などの症状が現われ、さらに悪化すると、呼吸困難やクスマウル呼吸(深く大きな呼吸)、嘔吐、強い腹痛などの症状が起こり、やがて意識不明に陥ります。
ケトアシドーシス昏睡は、インスリン不足が原因です。
インスリンが不足してブドウ糖がエネルギー源として使われないため、そのときに出るケトン体が増えた状態。ケトン体が血液中に増えると、意識を失う恐れがあります。
インスリン枯渇状態が2日以上続くとケトン体が増え始め、1週間くらい処置をしないでいると命を失ってしまうので、直ちに適切な処置をしなければなりません。
この昏睡は主に1型糖尿病の人に起こりやすく、1型糖尿病が発症したのに気づかずにいた時や、インスリンの注射が必要な人が長時間注射しないでいる時など危険です。
また、病気や怪我、ストレスなどによってコントロールに大きな乱れが生じると起きやすいので2型糖尿病の人もその可能性があり注意しましょう。
清涼飲料水ケトアシドーシス昏睡
糖分を多く含む清涼飲料水を多飲すると、インスリンがそれだけ消費されることになり、インスリンが不足しているのと同じ状態になるために起こります。
高血糖高浸透圧昏睡
高血糖と著しい脱水状態が併存し、血液が濃縮状態となって起こる恐れのある昏睡。2型糖尿病の人が、感染症や脳血管障害などを起こし、異常な高血糖状態になったときに起こしやすい昏睡です。
水分摂取の少ない人、特に高齢者は水分不足に陥りやすいので注意しましょう。
主な症状
ケトアシドーシスが起きた時に、よく見られる症状です。
主な症状
- のどの渇き、多飲
- 多尿
- 意識障害
- 嘔吐
- 呼吸の異常(速く深い呼吸)
- 腹痛
- 適切な治療がなされないと昏睡状態に陥る
糖尿病昏睡は、少し休めば収まるというものではなく、時間が経つほどに重大な結果を招きます。
糖尿病の人が昏睡などの意識障害を起こしたら、直ちに医療措置をとることが必要です。すぐに主治医か医療機関に連絡しましょう。
治療法
◆脱水症状の治療
強い脱水の状態のため、直ちに生理食塩水を中心とした点滴治療が行われます。
◆インスリンの投与
極度にインスリンが不足している状態のため、インスリンの補充が必要です。
感染症などの糖尿病ケトアシドーシスを引き起こした原因の病気があればその治療も行われます。
糖尿病性ケトアシドーシスを起こさないためには?
- 糖尿病を発症した時、インスリン注射を中断した時
- 感染症や外傷などにより極端にインスリンが不足した時
に起こります。
糖尿病性ケトアシドーシスにならないためには、
自己判断でインスリンを中断しない
1型糖尿病の治療中の人が、インスリン注射を医師の指示ではなく打たなかった時などに多くみられます。
必ず医師の指示に従い、用法容量を守ってきちんと行いましょう。
「シックデイ」の時もインスリンを止めない
体調不良のときはきちんと食事が摂れないことも多いです。
しかしインスリン治療を行っている人は、食事を摂れない時でも自己判断で止めてはいけません。必ず医師に連絡・受診し、指示に従いましょう。
糖尿病性ケトアシドーシスの原因は極度のインスリン不足です。
インスリン不足にならないことが大切です。
まとめ
糖尿病性ケトアシドーシスの原因は極度のインスリン不足です。
1型糖尿病患者の患者で起こりやすく、2型糖尿病患者でも、感染症や外傷などの強いストレスがあった時や、清涼飲料水やジュースなどを大量に飲んだ時に起こることがあります。
対応が遅れると命に危険が及ぶ大変危ない状態です。
高血糖の症状が出たとき、血糖の自己測定で血糖値が200mg/dl以上あるときは尿ケトン体を調べ、++以上のときはすぐに主治医に連絡し受診しましょう。
意識状態が悪く自力で歩けない場合には、ご家族などに付き添ってもらい救急車で受診しましょう。
とにかく早く診察・治療を受けることが大切です。