糖尿病になっていることに気づかなかったり、自覚症状がないため放置してしまったり。
高血糖の状態が続くと、次第に全身の血管や神経が傷つけられ、日常生活に支障をきたす様々な合併症があらわれます。
中には、命に関わる病気もあります。
目次
細い血管で起こる合併症【三大合併症】
糖尿病に特有の合併症で、いずれも生活するうえで重大な障害をきたす恐れがあります。
◆神経障害
神経が傷つき、手足のしびれや痛み、感覚の麻痺、物が二重に見える、尿意を感じないなど、全身に様々な症状が現れます。
痛みや温度などを感じにくくなり、傷などが悪化しやすくなるので注意が必要です。
メモ:足の壊疽足の動脈硬化や神経障害が進行すると、足の感覚が鈍くなり、怪我ややけどをしても気づかなくなります。
そのため、小さな傷が潰瘍や壊疽に進行してしまい、血管障害のために組織の修復に時間がかかるため長期間の治療が必要になったり、最悪の場合、足を切断しなければならないことがあります。
◆網膜症
血糖が高い状態が続くと、目の底にある網膜という部分の血管が悪くなります。
自覚症状が現れないまま進行し、ある日突然、眼底出血や網膜はく離を起こし、視力が弱まったり、最悪の場合、失明することも。
また、白内障になる人も多いといわれています
定期的に目の検査を受けることが大切です。
◆腎症
尿を作る腎臓の糸球体という部分の毛細血管が悪くなり、だんだんと尿が作れなくなります。
そしてさらに症状が進行すると、人工透析が必要になります。
週に数回、病院で透析を受けなければならなくなるので、日常生活に大きな影響を及ぼします。
太い血管で起こる【大血管障害(動脈硬化)】
動脈硬化は長い年月をかけて少しずつ進み、ある程度進行すると、突然、血管壁に溜まった脂肪分の塊「プラーク」が何かの拍子に破裂することがあります。
血管が破裂すると、命の危険が伴います。
動脈硬化の進行により引き起こされる合併症で、糖尿病予備群の段階から発症・進行します。
◆脳梗塞
脳の血管で進行することによって起こる病気。
突然死や、麻痺や言語障害などの後遺症が残ることもあります。
◆心筋梗塞
心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が詰まることにより起こります。
糖尿病で神経障害を伴う場合は、無痛性の心筋梗塞が多く見られます。
◆下肢の閉塞性動脈硬化症
下肢(足)の血管で動脈硬化が進行することにより起こります。
神経障害を伴う場合が多く、患者さんは痛みを感じにくいため発見が遅くなり、下肢の懐死や切断に至る危険性があります。
これらの合併症は、血糖のコントロールが悪いと発生率が高くなります。
そのため、糖尿病と診断された時点から注意しなければなりません。
まとめ
高血糖状態を放っておくと、血管や神経に障害が出て深刻な合併症を起こします。
しかし、血糖をきちんとコントロールすることができれば、発症や進行を防ぐことができます。
良好な血糖コントロールとともに、肥満解消(適正体重)、血圧、血清脂質を維持し、合併症の発症・進行を防ぎましょう